Case242 仮に未収金の回収が完了するまで退職金を支払わない旨の合意があったとしても自由な意思に基づくものでなく無効であるとされた事案・千田事件・大阪地判令4.5.20

(事案の概要)

 本件は、被告会社を定年退職した原告労働者が、会社に対して退職金を請求した事案です。

 会社は、原告との間で、原告が未収金の回収を完了しなければ退職金を支払わない旨の合意が成立していると主張しました。

(判決の要旨)

 判決は、仮に会社が主張する未収金が生じていたとしても、それは基本的には会社が組織として取引相手から回収すべきものであり、従業員が個人的に負担すべきものではないから、原告が未収金の回収が完了しなければ退職金が支払われないことに同意することは容易に想定し難いとしました。

 また、仮にそのような合意があったとしても、それは原告の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するとは到底いうことができず、無効というほかないとして、原告の請求を認めました。

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