2024年11月
Case549 労働時間管理に使用していた手書きの紙を破棄したという会社の主張を認めず文書提出を命じた事案・對馬(文書提出命令・抗告)事件・東京高決令5.11.14労判1317.31
(事案の概要) 文書提出命令の事件です。 原告労働者ら2名は、被告会社に対して残業代請求訴訟を提起していました。 原告らは、原告らが出勤時、退勤時、休憩開始時、休憩終了時の都度手書きで時刻を記載した紙(本件文書)を […]
【解雇事件マニュアル】Q55使用者による一方的な試用期間の延長は許されるか
1 はじめに 当初設定された試用期間が経過しても労働者の適正等が判断できないとして、使用者が一方的に試用期間を延長することは許されるか。 2 労働契約上の根拠がある場合 この点、当初から就業規則等で延長の可能性及びそ […]
Case548 契約書なく倉庫作業に従事した者が雇用保険法、厚生年金法及び健康保険法上の労働者に当たるとされた事案・国・労働保険審査会ほか(共立サポート)事件・大阪地判令5.4.12労判1316.46
(事案の概要) 原告会社が、労働保険審査会がした本件労働者に原告会社を事業者とする雇用保険の被保険者資格を認める裁決並びに社会保険審査官がした本件労働者に原告会社を適用事業所とする厚生年金保険及び健康保険の被保険者資格 […]
【解雇事件マニュアル】Q54試用期間の長さに制限はあるか
菅野ら『労働法』270頁によると、試用期間は3か月が最も多く、それを中心に1か月から6か月に渡っている。試用期間について規制する法令はなく、その長さは各使用者の就業規則等に委ねられている。 もっとも、試用期間の一部が […]
【解雇事件マニュアル】Q53試用期間中の解雇が無効になった場合残りの試用期間はどうなるか
例えば、3か月の試用期間のうち2か月経過時点でなされた解雇が判決で無効とされた場合、口頭弁論終結時点では既に本来の試用期間を経過しているものと思われる。この場合、労働者は試用期間を満了したことになるのか、それとも無効な […]
Case547 労働者の疾病は双極性障害であったとしてうつ病を前提に症状固定とした労災不支給決定が取り消された事案・国・土浦労基署長(大東建物管理)事件・東京高判令6.1.31労判1316号22頁
(事案の概要) 原告労働者は、平成24年9月、平成20年6月頃に業務に起因して軽症うつ病エピソードを発病していたとして労災認定を受けました。平成25年3月、原告のA主治医は、原告について「うつ病」と診断しました。 平 […]
【解雇事件マニュアル】Q52試用期間満了前に留保解約権を行使して解雇することは許されるか
試用期間と関係なく、試用期間中に労働者に通常の解雇事由や懲戒解雇事由が生じた場合には、試用期間中の解雇も当然許されるであろう。この場合の解雇は、試用期間により留保された解約権の行使によるものではない。 では、使用者が […]
【解雇事件マニュアル】Q51本採用拒否の有効性の判断基準は
試用期間の性質は解約権留保付労働契約であり、試用期間後の本採用拒否は、留保された解約権の行使、すなわち解雇にあたるため、解雇権濫用法理(労契法16条)が適用され、客観的合理的理由及び社会通念上の相当性が必要である。 […]
【解雇事件マニュアル】Q50有期労働契約に付された試用期間は有効か
有期労働契約の契約期間のうち、更にその一部が試用期間とされている場合がある。このような有期労働契約に付された試用期間は有効か。 契約期間中の解雇は、労契法17条1項という強行法規により、「やむを得ない事由」がある場合 […]
【解雇事件マニュアル】Q49試用期間か雇用期間かが争われた場合の判断基準は
雇用契約に期間が定められているとき、それが試用期間か雇用期間かが争いになることがある。雇用期間であれば、有期雇用契約であるため、期間満了による使用者による一方的な解約は雇止めに当たる。他方で、試用期間であれば、無期雇用 […]