【不当解雇、フリーランス、夜職、損害賠償】Case575 ホストの労働者性を肯定し未払賃金や違法な解雇による慰謝料の請求を認めた事案・賃金等請求事件・東京地判平27.7.14判例秘書L07030779

(事案の概要)

 原告労働者は、被告が個人で営業する本件クラブでホストとして働いていました。

 原告は、本件クラブを含む複数のクラブを統括するAから暴行を受けたのち、被告から解雇されました。

 原告の給与からは、「預り金(会費)」や「未入金のマイナス」の名目で控除がされていました。

 本件は、原告が被告に対して、本件契約が労働契約であると主張して、未払賃金の支払いや違法な解雇による損害賠償を求めた事案です。

(判決の要旨)

1 労働者性

 判決は、原告は本件クラブ側から指示された接客を断ったことがないこと、接客の中には自己の指名客だけでなくいわゆるヘルプとして他のホストが対応している席での接客業務が含まれていたこと、本件クラブにはタイムカード機が設置されており、原告は出勤時間と退勤時間を打刻し、被告は原告に遅刻による罰金を科していること、被告は原告の給与から所得税を控除していることから、被告への労務提供全般にわたり、原告が被告から指揮監督を受ける関係にあったと認められ、本件契約は労働契約であるとしました。

2 賃金控除

 判決は、「預り金(会費)」は、社員旅行の積立金であるところ、原告は社員旅行に行っていないため、控除すべきではないとしました。

 また、「未入金のマイナス」は、客からの売掛金の未回収を理由とするものであるところ、本件契約にこのような合意が含まれていたとしても、このような合意は、本来事業者である被告が負担すべき客への債権不回収の危険を従業員である原告に負担させることにほかならず、これに本件クラブにおいて客をつけて飲食させるか否かの判断を原告ではなく店側が行うものであることも考慮すれば、公序良俗に反し、無効であるとしました。

3 解雇及び損害賠償

 判決は、原告が日頃から脱法ドラッグをしていたこと、原告がしばしば仕事に遅刻したこと、原告がしばしば被告の命令に従わなかったこと等の解雇理由はいずれも抽象的で証拠もないとして、本件解雇が無効で不法行為を構成するとし、慰謝料30万円のみ認めました。

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