今日の労働裁判例
Case385 入社時の誓約書が懲戒の種別及び事由を定めたものといえず懲戒権の根拠にならないとされた事案・丸林運輸事件・東京地決平18.5.17労判916.12

(事案の概要)  トラックドライバーである本件労働者ら2名は、勤務終了後に翌日の出庫に備えてトラックの仮眠ベットで眠ることとし、その際車内で飲酒をしましたが運転はしていませんでした。本件会社は、飲酒運転をしたとして本件労 […]

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Case384 就業規則上の懲戒事由に該当するというためには企業秩序を現実に侵害したなどの事情が必要であるとして懲戒解雇を無効とした事案・学校法人B(教員解雇)事件・東京地判平22.9.10労判1018.64

(事案の概要)  被告法人が運営する大学の教授である原告労働者は、学長選挙の際に特定の学長候補者に対する人身攻撃を内容とするFAXを送信した(懲戒事由A)など8つの事実が「教員としてふさわしくない行為を行い、学園の名誉若 […]

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Case383 賃金減額への同意のうち既発生の賃金債権を放棄する部分が自由な意思に基づかないとして無効とされた事案・北海道国際航空事件・最判平15.12.18労判866.14

(事案の概要)  原告労働者は、被告会社の社長付き担当部長として月額70万円の給与を得ていました。  会社は、経営不振により北海道議会から約20億円の支援を受け、自助努力として課長以上の役職者の賃金を減額が不可避となりま […]

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Case382 退職勧奨の後に行われた配置転換に伴う約50%の降格減給が無効とされた事案・日本ドナルドソン青梅工場事件・東京高判平16.4.15労判884.93

(事案の概要)  被告会社は、年功序列制度を改め、能力型賃金体系を採用するため新人事考課制度(職務内容および職務遂行能力に応じて1等級から11等級に区分)を導入し就業規則を変更しました。新就業規則には「社員の異動は、社員 […]

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Case381 労働者にいかなる場合にも会社の調査に協力する義務はないとして調査に協力しなかったことを理由とする懲戒処分が無効とされた事案・富士重工業事件・最判昭52.12.13労判287.7

(事案の概要)  被告会社は、従業員Bらが就業中に他の従業員に対して原水爆禁止運動のために販売するハンカチの作成を依頼するなど就業規則に違反する行為をしたとして、その調査を行っていました。  その結果、Bが原告労働者に対 […]

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Case380 会社が労働者の処遇を検討するための2か月の自宅待機を休職扱いし一部有給休暇及び代休として処理したことが違法とされた事案・上州屋事件・東京地判平11.10.29労判774.12

(事案の概要)  店長として勤務していた原告労働者は、従業員からの告発を受け、被告会社から勤務態度や金銭管理について事情聴取を受けました。  事情聴取の翌日、会社は、原告の処遇を検討するため、原告に対して期間を定めず自宅 […]

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Case379 料理長の手待ち時間が労働時間に当たるとされ36協定がないことや実態と乖離していることから職務手当が対価性を欠き固定残業代に当たらないとされた事案・サン・サービス事件・名古屋高判令2.2.27労判1224.42

(事案の概要)  原告労働者は、被告会社の経営するホテルの飲食店で料理長として働いていました。会社作成の労働条件提案書には勤務時間として「6時30分~22時」「休憩時間は現場内で調整してください」と記載されていましたが、 […]

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Case378 定年後再雇用において更新後の労働条件が合意できなかったことを理由とする雇止めが無効とされ従前と同一の条件で契約が更新されるとした事案・田中酸素(継続雇用)事件・広島高判令2.12.25労判1286.68

(事案の概要)  原告労働者は、被告会社を定年退職した後、1年間の嘱託社員として会社に再雇用されました。原告の賃金は、暫定的に月19万円、ただし基本給と賞与については今後団体交渉によって取り決めるとされました。  会社の […]

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Case377 対価性の判断基準を示して業務手当が固定残業代に該当するとした最高裁判例・日本ケミカル事件・最判平30.7.19労判1186.5

(事案の概要)  被告会社が経営する薬局で薬剤師として勤務していた原告労働者が残業代請求した事案です。  本件雇用契約書には、賃金について「月額56万2500円(残業手当含む)」「給与明細書表示(月額給与46万1500円 […]

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Case376 採用面接においてHIV感染の事実を告げなかったことなどを理由とした内定取消しが違法とされた事案・社会福祉法人北海道社会事業協会事件・札幌地判令1.9.17労判1214.18

(事案の概要)  社会福祉士である原告労働者は、病院を運営する被告法人から内定を得たものの、採用面接における質問に対してHIVに感染している事実を告げなかったことなどを理由に内定を取り消されました。法人は、運営する病院か […]

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