今日の労働裁判例

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Case390 外部団体に告発文書を送信し刑事告訴され不起訴処分を受けたことが「刑事上の罰に問われた」及び「会社の信用を著しく損なう行為」の懲戒解雇事由に該当しないとされた事案・A不動産事件・広島高判平29.7.14労判1170.5

(事案の概要)  原告労働者は、被告会社の代表者が理事を務める公益社団法人に対して、会社代表者の息子(会社役員)が詐欺罪で逮捕されたことを告発する文書をFAX送信(本件送信)しました。  会社代表者は、本件送信について刑 […]

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Case389 機密情報が入った私物ハードディスクを持ち帰っただけでは「機密を外に漏らした」という懲戒解雇事由や普通解雇事由に該当しないとした事案・乙山商会事件・大阪地判平25.6.21労判1081.19

(事案の概要)  原告労働者は、被告会社で使っていた私物の外付けハードディスクを、会社の取引情報が入った状態で持ち帰りましたが、情報を外部に流出させた事実はありませんでした。  会社は、原告がデータを持ち帰ったことが就業 […]

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Case388 企業秩序を現実に侵害するとまではいえないことや十分な弁明の機会が付与されず手続的に相当性を欠くものであることから業務命令違反を理由とする懲戒解雇が無効とされた事案・日本通信(懲戒解雇)事件・東京地判平24.11.30労判1069.36

(事案の概要)  退職勧奨を拒否して自宅待機中であった原告労働者は、被告会社に呼び出され、原告が有する所内システムの管理権限を抹消するためにパスワードを教えるよう求められましたが、退職に応じないことを理由にこれを拒否しま […]

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Case387 使用者が存在を認識しながら懲戒理由として表示しなかった非違行為を後に懲戒事由として主張することは原則として許されないとされた事案・ヒューマントラスト(懲戒解雇)事件・東京地判平24.3.13労判1050.48

(事案の概要)  原告労働者は、競合他社の情報システム構築等の支援を行い、被告会社の機密情報等を不正に社外に持ち出した等の理由で懲戒解雇されました。  本件は、原告が会社に対して、懲戒解雇の無効を主張して雇用契約上の地位 […]

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Case386 派遣旅行添乗員につき派遣先旅行会社の指揮監督が及んでいるとして事業場外みなし制の適用が否定された事案・阪急トラベルサポート(派遣添乗員・第3)事件・東京高判平24.3.7労判1048.26

(事案の概要)  原告労働者らは、被告会社に登録型派遣社員として雇用され、旅行会社A社に派遣されて国内外旅行ツアーの添乗員として業務に従事していました。  原告らの添乗業務は、最終日程表、指示書、行程表に沿って行われ、ツ […]

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Case385 入社時の誓約書が懲戒の種別及び事由を定めたものといえず懲戒権の根拠にならないとされた事案・丸林運輸事件・東京地決平18.5.17労判916.12

(事案の概要)  トラックドライバーである本件労働者ら2名は、勤務終了後に翌日の出庫に備えてトラックの仮眠ベットで眠ることとし、その際車内で飲酒をしましたが運転はしていませんでした。本件会社は、飲酒運転をしたとして本件労 […]

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Case384 就業規則上の懲戒事由に該当するというためには企業秩序を現実に侵害したなどの事情が必要であるとして懲戒解雇を無効とした事案・学校法人B(教員解雇)事件・東京地判平22.9.10労判1018.64

(事案の概要)  被告法人が運営する大学の教授である原告労働者は、学長選挙の際に特定の学長候補者に対する人身攻撃を内容とするFAXを送信した(懲戒事由A)など8つの事実が「教員としてふさわしくない行為を行い、学園の名誉若 […]

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Case383 賃金減額への同意のうち既発生の賃金債権を放棄する部分が自由な意思に基づかないとして無効とされた事案・北海道国際航空事件・最判平15.12.18労判866.14

(事案の概要)  原告労働者は、被告会社の社長付き担当部長として月額70万円の給与を得ていました。  会社は、経営不振により北海道議会から約20億円の支援を受け、自助努力として課長以上の役職者の賃金を減額が不可避となりま […]

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Case382 退職勧奨の後に行われた配置転換に伴う約50%の降格減給が無効とされた事案・日本ドナルドソン青梅工場事件・東京高判平16.4.15労判884.93

(事案の概要)  被告会社は、年功序列制度を改め、能力型賃金体系を採用するため新人事考課制度(職務内容および職務遂行能力に応じて1等級から11等級に区分)を導入し就業規則を変更しました。新就業規則には「社員の異動は、社員 […]

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Case381 労働者にいかなる場合にも会社の調査に協力する義務はないとして調査に協力しなかったことを理由とする懲戒処分が無効とされた事案・富士重工業事件・最判昭52.12.13労判287.7

(事案の概要)  被告会社は、従業員Bらが就業中に他の従業員に対して原水爆禁止運動のために販売するハンカチの作成を依頼するなど就業規則に違反する行為をしたとして、その調査を行っていました。  その結果、Bが原告労働者に対 […]

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