解雇

今日の労働裁判例
Case398 解雇か謝罪して賃上げ交渉を白紙にするかの選択を迫られた労働者が「もういいですよ。」などと述べたことをもって退職の合意があったとはいえないとした事案・新日本建設運輸事件・東京高判令2.1.30労判1239.77

(事案の概要)  原告労働者らは、被告会社と賃上げ等の交渉をしていました。  交渉の場において、被告代表者は、原告らに対して、解雇通知書を示しながら、解雇通知書を取るのか、それとも過去の問題行動等を謝罪するとともに、交渉 […]

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Case396 弁護士からSNS改ざんの疑いをかけられ「もう来なくていい」と言われたことに対して事務員が「こんなとこ働けんわ」と立ち去ったことが合意解約の意思表示とはいえないとされた事案・乙山法律事務所事件・東京地判平27.3.11判時2274.73

(事案の概要)  原告労働者は、弁護士である被告の事務所で事務員として働いていましたが、ある日深夜から早朝にかけて被告から複数の着信履歴とメールがありました。原告が早朝に被告に電話すると、被告は、原告が被告のFacebo […]

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Case395 「このままでは30日後に解雇する」旨の会社の発言は確定的な解雇の意思表示ではなく解雇予告に当たらないとして解雇予告手当の請求が認められた事案・全国資格研修センター事件・大阪地判平7.1.27労判680.86

(事案の概要)  被告会社は、原告労働者が売上ノルマを達成していないとして、原告に対して「がんばってもらわないと、このままでは30日後に解雇する」旨を告げ、その1か月後をもって原告を解雇しました。  会社は、上記発言をも […]

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Case393 小料理店を経営する個人が死亡しても板前との雇用契約が終了せず相続人が使用者の地位を承継するとされ廃業を理由とする解雇も無効とされた事案・小料理屋「尾婆伴」事件・大阪地決平1.10.25労判551.22

(事案の概要)  本件労働者は、A個人が経営する小料理店で板前として勤務していました。  Aが死亡し、Aの母であるBが小料理店にかかわる権利義務関係を相続承継しました。Aが入院・死亡した後も、本件労働者が店の経営を続けて […]

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Case392 労災保険法上の給付を受けている労働者も労基法81条の打切補償の対象となるとした最高裁判例・学校法人専修大学事件・最判平27.6.8労判1118.18

(事案の概要)  被告労働者は、業務上疾病(頚肩腕症候群)により療養のため約6年間にわたって休業して労災保険給付を受けていましたが、原告法人から労基法81条の打切補償として平均賃金の1200日分の支払いを受けたうえで解雇 […]

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Case389 機密情報が入った私物ハードディスクを持ち帰っただけでは「機密を外に漏らした」という懲戒解雇事由や普通解雇事由に該当しないとした事案・乙山商会事件・大阪地判平25.6.21労判1081.19

(事案の概要)  原告労働者は、被告会社で使っていた私物の外付けハードディスクを、会社の取引情報が入った状態で持ち帰りましたが、情報を外部に流出させた事実はありませんでした。  会社は、原告がデータを持ち帰ったことが就業 […]

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Case388 企業秩序を現実に侵害するとまではいえないことや十分な弁明の機会が付与されず手続的に相当性を欠くものであることから業務命令違反を理由とする懲戒解雇が無効とされた事案・日本通信(懲戒解雇)事件・東京地判平24.11.30労判1069.36

(事案の概要)  退職勧奨を拒否して自宅待機中であった原告労働者は、被告会社に呼び出され、原告が有する所内システムの管理権限を抹消するためにパスワードを教えるよう求められましたが、退職に応じないことを理由にこれを拒否しま […]

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Case385 入社時の誓約書が懲戒の種別及び事由を定めたものといえず懲戒権の根拠にならないとされた事案・丸林運輸事件・東京地決平18.5.17労判916.12

(事案の概要)  トラックドライバーである本件労働者ら2名は、勤務終了後に翌日の出庫に備えてトラックの仮眠ベットで眠ることとし、その際車内で飲酒をしましたが運転はしていませんでした。本件会社は、飲酒運転をしたとして本件労 […]

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Case384 就業規則上の懲戒事由に該当するというためには企業秩序を現実に侵害したなどの事情が必要であるとして懲戒解雇を無効とした事案・学校法人B(教員解雇)事件・東京地判平22.9.10労判1018.64

(事案の概要)  被告法人が運営する大学の教授である原告労働者は、学長選挙の際に特定の学長候補者に対する人身攻撃を内容とするFAXを送信した(懲戒事由A)など8つの事実が「教員としてふさわしくない行為を行い、学園の名誉若 […]

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Case375 能力等の判断に必要な合理的範囲を超えた長期の試用期間の定めは公序良俗に反し無効であるとした事案・ブラザー工業事件・名古屋地判昭59.3.23労判439.64

(事案の概要)  本件会社では、中途採用者を「見習社員」として、雇用期間は原則として2か月で、見習社員が「試用社員登用試験」に合格して「試用社員」になるか、試験に3回不合格になって雇止めされるまでの間、期間満了毎に自動的 […]

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