Case410 正社員と同視すべき準社員(短時間労働者)につき、正社員と賞与額が大幅に異なることなどが違法な差別的取扱いに当たるとされた事案・ニヤクコーポレーション事件・大分地判平25.12.10労判1090.44

(事案の概要)

 原告労働者は、平成16年10月に被告会社と有期雇用契約を締結し、平成18年4月以降は準社員(短時間労働者)となり、タンクローリーの運転手として1年契約を計6回にわたり更新してきました。

 原告は、平成23年2月、職務の内容が正社員と同一であるにもかかわらず、準社員であることを理由に待遇に格差(年間賞与は40万円以上、週休日は30日を超える格差があり、準社員には退職金もない)があるのは旧パート法8条1項(現パート有期法9条)に違反すると主張して、労働局長に対して同法に基づく援助を求めました。労働局長は会社に対して改善指導を行いましたが、会社はこれに応じませんでした。

 平成24年8月には、原告が申し立てた労働審判において、会社に対して旧パート法8条違反及び不法行為に基づく賞与差額分相当の支払いが命じられましたが、会社が異議を申し立てたため、本件訴訟に移行しました。

 平成25年3月、会社は、原告が本件訴訟において事実と異なる主張をしているなどとして原告を雇止めしたため、雇止めの有効性も争点となりました。

(判決の要旨)

1 雇止め

 判決は、雇用契約が反復して更新されていること、契約期間の制限について十分な説明がなされていないこと、準社員の更新拒絶の割合が少なかったことなどから、労契法19条1号ないし2号により雇止めを無効としました。違法な雇止めにつき慰謝料50万円も認めました。

2 旧パート法8条

 判決は、本件労働契約は、反復して更新されることによって期間の定めのない労働契約と同視することが社会通念上相当と認められる期間の定めのある労働契約(旧パート法8条2項)に該当するものと認められ、原告は通常の労働者と同視すべき短時間労働者(同1項)に該当したものと認められるとしました。

 そして、正社員と準社員との間で、賞与額が大幅に異なる点、週休日の日数が異なる点、退職金の支給の有無が異なる点は、通常の労働者と同視すべき短時間労働者について、短時間労働者であることを理由として賃金の決定その他の処遇について差別的取扱いをしたものとして同条項に違反するとし、賞与及び休日の割増分の差額の損害賠償を認めました。

※控訴

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