今日の労働裁判例
Case534 団交応諾を命じる救済命令が確定していないことを理由とする団交拒否が組合の期待権を侵害し違法であるとされた事案・京都市(救済命令不実施)事件・京都地判令5.12.8労判1311.52新着!!
(事案の概要) 原告労働組合ら(組合及びその下部組織)は、被告京都市が運営・委託する児童館等の職員が加入する労働組合として、平成2年から毎年のように京都市と団体交渉をしてきました。 ところが、令和2年、京都市は組合ら […]
Case533 条件付採用期間中の地方公務員に対する本採用拒否の分限免職処分が裁量権の行使を誤ったものとして取り消された事案・宇城市(職員・分限免職)事件・福岡高判令5.11.30労判1310.29
(事案の概要) 原告労働者は、被告市に臨時職員として2か月間勤務した後、大学卒業と同時に被告市に採用されました。地方公務員法22条は「職員の採用は、全て条件付きのものとし、当該職員がその職において六月の期間を勤務し、そ […]
Case532 転籍出向に伴う退職の意思表示を心裡留保により無効とし解雇理由を示さずにされた解雇について慰謝料請求まで認めた事案・アイウエア事件・東京高判令4.1.26労判1310.131
(事案の概要) 原告労働者は、被告会社と無期雇用契約を締結し、平成25年6月1日から都内の本社で勤務し、同月13日から中国上海市にある本件塾において語学の講師として赴任しました。 被告会社は、原告が平成25年9月30 […]
Case531 アイドルの労働者性が肯定され1回200万円の違約金条項が無効とされた事案・ファーストシンク事件・大阪地判令5.4.21労判1310.107
(事案の概要) 原告会社が、会社がマネジメントする男性アイドルグループの元メンバーである被告に対して違約金請求をし、被告メンバーが会社に対して未払賃金請求の反訴をした事案です。 被告メンバーが会社と締結した専属マネジ […]
Case530 1年契約を4回更新された非常勤講師の更新の合理的期待の程度が高いとはいえないとしつつ能力不足による雇止めを無効とした事案・学校法人玉手山学園(関西福祉科学大学)事件・京都地判令5.5.19労判1308.78
(事案の概要) 原告労働者は、平成28年4月に被告法人と1年間の有期雇用契約を締結し、本件大学において必修科目であるA語の科目を担当する非常勤講師として勤務していました。原告の契約は4回更新されましたが、5年目で授業評 […]
Case529 組合による不当労働行為救済命令申立てが会社に対する不法行為に当たるとはいえないとされた事案・よこはまシティユニオン(ユーコーコミュニティー)事件・東京高判令5.11.15労判1308.44
(事案の概要) 原告会社が、被告労働組合に対して損害賠償請求した事案です。 会社は、組合員である従業員Aに対して損害賠償債務不存在確認を求める別件訴訟①(>ユーコーコミュニティー従業員事件)、Aによるメール送信が不法 […]
Case528 職種限定合意がある場合には使用者に配転命令権はないとして解雇回避を理由とする配転命令を有効とした原判決を破棄した最高裁判例・社会福祉法人滋賀県社会福祉協議会事件・最判令6.4.26労判1308.5
(事案の概要) 原告労働者は、平成13年に、公の施設である社会福祉センターの一部である福祉用具センターにおいて、指定管理者等として福祉用具の展示・普及、利用者からの相談に基づく用具の改造・製作ならびに技術開発等の業務を […]
Case527 学生に対する複数のハラスメントを理由とする停職処分が教授会の議を経ていない手続上の重大な瑕疵があるとして無効とされた事案・国立大学法人愛知教育大学事件・名古屋地判令3.1.27労判1307.64
(事案の概要) 本件は、被告法人が設置する大学において教授として勤務する原告労働者が、学生に対するハラスメントを理由にされた停職6週間の懲戒処分(本件処分)の無効確認等を求めた事案です。なお、本件処分を理由とする損害賠 […]
Case526 二度に渡る賃金減額を伴う職位の引下げとしての降格を無効とし第一降格の直後に行われた第二降格は不法行為にも当たるとされた事案・シーエーシー事件・東京高判令4.1.27労判1307.51
(事案の概要) 原告労働者は、被告会社と期間の定めのない雇用契約を締結し、平成27年12月当時サービスプロデューサーの地位にありました。原告の月額賃金は、職責給53万200円および役職給7万円でした。役職給の金額につい […]
【解雇事件マニュアル】Q23期間途中の整理解雇はどのような場合に有効になるか
1 はじめに 労契法17条1項の「やむを得ない事由」が認められるためには、①客観的合理性及び②社会的相当性(労契法16条)に加えて、期間満了を待たずに直ちに雇用を終了させざるを得ない特段の重大な事由が存在することが必要 […]