2023年5月

今日の労働裁判例
Case331 新聞の取材に法人を批判するコメントをしたことやビラを配布したことが正当な組合活動の範囲内であるとして懲戒事由にならないとされた事案・学校法人橘学苑事件・横浜地判令4.12.22

(事案の概要)  被告法人が運営する学校で常勤講師をしていた原告らは、原告らを含む教員ら並びに卒業生及び在校生の保護者らが法人に対して提起していた別件訴訟について、新聞記者からの取材に応じました。これにより、「教員いじめ […]

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Case330 解雇通知を誤って労働者の隣家に投函したことに対する慰謝料が認められ、組合員名簿等の提示を求め団体交渉を拒否したことが不当労働行為に当たるとされた事案・学校法人コリア国際学園事件・大阪地判令4.12.26

(事案の概要) 1 原告A  被告法人が運営する学校で教員をしていた原告Aは、法人からの退職勧奨を拒否したところ、自宅待機命令ののちに解雇されました。解雇理由は、⑴複数回の遅刻や、⑵教員会議での指示に反して他の教員の退職 […]

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Case329 雇止め係争中の学校法人による残置物の撤去等が違法な自力救済に当たるとして法人や代理人弁護士に対する慰謝料請求が認められた事案・学校法人羽衣学園(羽衣国際大学・損害賠償請求等)事件・大阪高判令5.1.26労経速2510.9

(事案の概要) >学校法人羽衣学園(羽衣国際大学・地位確認)事件の原告が提起した関連事件です。  原告は、雇止めされた後も、在職中に使用していた研究室の鍵を管理し、研究室の退去を拒否していました。  法人は、原告に無断で […]

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Case328 介護福祉士養成課程の授業を担当する大学講師について10年特例の適用を否定して無期転換を認めた事案・学校法人羽衣学園(羽衣国際大学・地位確認)事件・大阪高判令5.1.18労判1285.18

(事案の概要)  原告労働者は、被告学校法人と雇用期間を3年間とする有期雇用契約(本件雇用契約)を締結し、法人が運営する大学において介護福祉士養成課程の授業を担当していました。  本件雇用契約は3年間更新されましたが(通 […]

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Case327 労働者が中退共から受け取る退職金のうち社内規程に基づく退職金額を超える差額を会社に返還する旨の労働協約及び合意の効力が民法90条により無効とされた事案・タイムス物流事件・大阪地判令4.12.22

(事案の概要)  原告会社が被告労働者を訴えた事件です。  会社には、会社が中退共に退職金を積み立てるかわりに、従業員が中退共から受け取る退職金のうち、社内規程に基づく退職金の額を超える差額は従業員が会社に返還する旨の労 […]

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Case326 三次救急の救急外科医につき職種限定を認め配転命令を無効とし就労請求権も認めた事案・地方独立行政法人市立東大阪医療センター(仮処分)事件・大阪地決令4.11.10労判1283.27

(事案の概要)  外科及び救急科専門医である本件労働者は、本件法人が運営する三次救急である救急救命センター(Aセンター)において外傷・救急外科医として勤務していました。  本件労働者は、Aセンターの所長と対立し、Aセンタ […]

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Case325 開発センター廃止を理由とするセンター長に対する配転命令を無効とし配転命令拒否を理由とする賃金支払停止、減給処分及び解雇も無効とした事案・メガカリオン事件・東京地判令4.7.5

(事案の概要)  原告労働者は、iPS細胞由来の血小板製剤の開発を目的とする被告会社が運営する本件センターのセンター長として業務を行っていました。  会社は、平成30年1月、原告に対して、本件センターの廃止を理由に退職勧 […]

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Case324 使用者が労働者の兼業状況を容易に把握することができたとして兼業も合わせた長時間労働につき安全配慮義務違反を認めた事案・大器キャリアキャスティングほか1社事件・大阪高判令4.10.14労判1283.44

(事案の概要)  原告労働者は、被告会社と有期雇用契約を締結し、A社が運営する24時間営業のガソリンスタンドで夜間営業の業務を行っていました。  原告は、A社とも有期雇用契約を締結し、日中や日曜にも同じガソリンスタンで勤 […]

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Case323 トラック運転手からラーメン店の店長候補に配置転換された労働者について精神疾患発症の業務起因性を認めた事案・国・笠岡労働基準監督署長事件・岡山地判令4.3.30労経速2508.8

(事案の概要)  労災不支給決定に対する取消訴訟です。  原告労働者は、会社でトラック運転手として配送業務をしていましたが、会社が経営するラーメン店の店長候補に配置転換されました。  原告は、慣れない業務を行う中でおおむ […]

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Case322 打刻時の位置情報を把握できるシステムの導入により直行直帰のMRの労働時間を算定できるようになったとして事業場外みなし制が無効とされた事案・セルトリオン・ヘルスケア・ジャパン事件・東京高判令4.11.16労判1288.81

(事案の概要)  原告労働者は、製薬会社である被告会社でMRとして営業の職務に従事し、自宅と営業先を直行直帰していました。  会社が導入した勤怠管理システム(本件システム)では、出退勤の打刻時点における従業員の位置情報を […]

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