2023年10月

今日の労働裁判例
Case424 望まない身体的な接触行為が違法なセクハラといえる判断基準を示して男性上司による女性部下に対するセクハラを違法とした事案・横浜セクシュアル・ハラスメント事件・東京高判平9.11.20労判728.12

(事案の概要)  本件は、被告子会社に勤める原告労働者(女性)が、被告親会社から被告子会社に出向していた被告上司(男性)からセクハラを受けたとして、被告らに対して損害賠償請求した事案です。  セクハラの内容は、①事務所で […]

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Case423 公務員が病気休暇中に上司から示されて提出した退職願が、自由な意思に基づかず無効であるとされた事案・栃木県・県知事(土木事務所職員)事件・宇都宮地判令5.3.29労判1293.23

(事案の概要)  原告労働者は、平成3年に栃木県知事によって被告栃木県の技術吏員に任命され、県内の土木事務所で勤務していましたが、平成27年から双極性感情障害を理由に180日間の病気休暇を取得し、478日間休職し、平成2 […]

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Case422 違法なセクハラの判断基準を示して家政婦が社長から受けた強制わいせつ行為を含むセクハラ及び殴打を違法とした事案・金沢セクシュアル・ハラスメント事件・名古屋高金沢支判H8.10.30労判707.37

(事案の概要)  原告労働者(女性)は、家政婦として被告会社の被告社長(男性)の昼食と夕食の支度、洗濯・部屋の片づけや庭の手入れ、電話番、郵便物を営業所に持っていく業務を行っていました。  社長は原告に対して、飲酒の上猥 […]

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Case421 チームリーダーだった女性に対して産休育休復帰後は部下を付けずに専ら電話営業等をさせた措置等が均等法等が禁止する不利益取扱いに当たるとされた事案・アメックス(降格等)事件・東京高判令5.4.27労判1292.40

(事案の概要)  原告労働者(女性)は、被告会社で37名の部下を持つ個人営業部のチームリーダーとして勤務していましたが、産前産後休業および育児休業を取得している間に組織変更があり原告のチームは消滅しました。  原告は、育 […]

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Case420 解雇が妊娠等に近接して行われかつ客観的合理的理由を欠くことなどを当然に認識すべき場合には解雇は均等法等ないしその趣旨に反するとされた事案・シュプリンガー・ジャパン事件・東京地判平29.7.3労判1178.70

(事案の概要)  原告労働者(女性)は、第2子出産のための産前産後休暇及び育児休業を取得しました。原告が被告会社に対して職場復帰を申し入れたところ、会社は、従前の部署は人員が足りており現職復帰は難しく、インドの子会社に転 […]

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Case419 勤務日の直前にされる年休の時季変更権の行使及び恒常的な要員不足による時季変更権の行使が債務不履行に当たるとされた事案・JR東海(年休)事件・東京地判令5.3.27労判1288.18

(事案の概要)  本件は、電車の運転士をしていた原告労働者らが、年次有給休暇(年休)の申請をしたのに対して、被告会社に時季変更権を行使されて就労を命じられたことにつき、会社の時季変更権の行使は違法であるとして、会社に対し […]

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Case418 正社員に退職金を支給する一方で契約社員に退職金を支給しないことが旧労契法20条の不合理な格差に当たるとはいえないとした最高裁判例・メトロコマース事件・最判令2.10.13労判1229.90

(事案の概要)  原告労働者は、被告会社と有期雇用契約を締結して、契約社員Bとして地下鉄駅構内の売店で勤務していました。  会社には、無期雇用である正社員の他に、有期雇用の契約社員Aと契約社員Bという契約形態がありました […]

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Case417 会社が組合のストライキを批判する社長声明を掲示し臨時徴収費のチェック・オフを拒否したことが支配介入に当たるとされた事案・プリマハム事件・東京高判昭56.9.28労経速1134.7

(事案の概要)  中央労働委員会の不当労働行為救済命令に対して会社が提起した取消訴訟です。 1 社長声明文  賃上げを議題とする団体交渉において会社が組合に対して「最終回答」との態度を明らかにしたため、組合が団体交渉の決 […]

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Case416 正規職員と業務内容及び責任の程度が同一の嘱託職員について退職金規程を定めないことが旧パート法8条1項に違反するとされた事案・京都市立浴場運営財団ほか事件・京都地判平29.9.20労判1167.34

(事案の概要)  原告ら労働者は、市立浴場の管理運営を目的とする一般社団法人である被告法人の解散に伴い、法人から解雇されました。  原告らのうち正規職員は、退職金規程に基づき退職金を請求し、これが認められました。  原告 […]

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Case415 無期契約労働者と有期契約労働者との間の家族手当・住宅手当・精勤手当の差異が旧労契法20条の不合理な格差に当たるとされ無期転換後の損害賠償責任も肯定された事案・井関松山製造所事件・高松高判令1.7.8労判1208.25

(事案の概要)  被告会社と有期雇用契約を締結していた原告労働者らが、無期契約労働者との間に、就業規則上、下記労働条件の相違があることが旧労契法20条の不合理な格差に当たるとして損害賠償請求した事案です。  原告らに適用 […]

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