労働基準法第11条 定義(賃金)

第十一条 この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。

~解説~

⑴ 「労働の対償」とは、労働者が使用従属関係のもとで行った労働に対して、その報酬として支払われることをいいます。

⑵ 名称の如何を問わないので、家族手当、物価手当など、一見労働と関係がなさそうなものでも、労働の対償であれば賃金に当たります。

⑶ 就業規則などに定めがなく、使用者が任意に支払う慶弔見舞金や退職金などは賃金に当たりません。もっとも、就業規則などで慶弔見舞金や退職金の支給条件が明確に定められている場合には、その支払いは使用者の義務となり、賃金に当たり得ます。

⑷ 社宅の貸与や食事の供与など、いわゆる福利厚生施設は原則として賃金に当たりませんが、例えば社宅の貸与を受けていない従業員には住宅手当が支払われるような場合には、社宅の貸与が住宅手当に代わる賃金といえる場合があります。

⑸ 実費弁済としての旅費などは賃金に当たりません。

⑹ 業務上必要な作業備品の支給なども賃金に当たりません。

⑺ 「使用者が」支払うものが賃金なので、客が支払うチップなどは賃金には含まれません。もっとも、客が支払うチップを使用者が受領し、歩合給などの形で労働者に分配するような場合には賃金に当たります。

⑻ ストック・オプション制度は、権利行使のタイミングを労働者が決定することから、これによる利益は賃金に当たらないとされています。

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