Case385 入社時の誓約書が懲戒の種別及び事由を定めたものといえず懲戒権の根拠にならないとされた事案・丸林運輸事件・東京地決平18.5.17労判916.12

(事案の概要)

 トラックドライバーである本件労働者ら2名は、勤務終了後に翌日の出庫に備えてトラックの仮眠ベットで眠ることとし、その際車内で飲酒をしましたが運転はしていませんでした。本件会社は、飲酒運転をしたとして本件労働者らを懲戒解雇しました。

 もっとも、懲戒解雇時点で会社には周知された就業規則はなく、本件労働者らの入社時の誓約書に「問題を起こしてた場合は、即時解雇されても異議はありません。」「飲酒して車を運転しない事。」等と記載されているのみでした。

 本件は、本件労働者らが懲戒解雇の無効を主張して賃金の仮払い等を求めた仮処分の事案です。

(決定の要旨)

 裁判所は、上記誓約書の記載が懲戒処分に関し、懲戒の種別及び事由を定めたものと解することはできないとして、会社は本件労働者らに対する懲戒権を有しないとしました。

 また、仮に懲戒権を有するとしても懲戒解雇は懲戒権の濫用により無効とし賃金仮払いを認めました。

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