Case503 配車係がけん引運転手に対して出張手当等が付く配車を止めたことが合理的な裁量を逸脱し違法であるとされた事案・向島運送ほか事件・横浜地判令5.3.3労判1304.5

(事案の概要)

 原告労働者は、被告会社においてけん引運転手として勤務していました。

 原告は、被告配車係の決定に従い、出張手当及び早出手当が付く配車(出張等配車)を受け、両手当を合計して月平均約13万円の手当を受けており、これらは月額賃金の約26%を占めていました。

 会社は、労働組合を通じて、従業員らに対して高速道路の24時降り(SA等で24時まで待機した後高速を降りることにより高速代が割引となる)への協力を依頼していましたが、業務命令としての指示はしていませんでした。

 原告は、24時降りをするよう努めていましたが、2回24時降りをしませんでした。これに対して、会社からの注意・指導はありませんでした。

 また、原告は、出荷先から会社が送付すべきFAXが送られていないと指摘を受け、その旨を被告配車係に伝えましたが、被告配車係から早期にFAXを確認して連絡しなかったことを責められたため、被告配車係では話にならないとして電話を所長に替わるよう求めました。その際、原告の対応について所長から注意されることはありませんでした。

 被告配車係と所長は、原告が24時降りをしなかったことや、上記電話のやりとりが配車係の指示に従わないものであるとして、原告に対して出張等配車をほとんどしなくなりました(本件処遇)。

 これにより、原告は約2年半の間に約325万円の手当を受けることができませんでした。

 本件は、原告が、本件処遇が不法行為に当たるとして、会社及び被告配車係に対して損害賠償請求した事案です。

(判決の要旨)

 判決は、原告が24時降りをしなかった事実は2回に留まり、いずれも本件処遇とは6か月以上の隔たりがあり、改善のための注意・指導も行われていないこと、被告配車係との電話のやりとりについても改善のための注意・指導が行われていないことなどから、被告配車係らが、原告に対し具体的な注意・指導の機会を設けることなく本件処遇をするほどの業務上の必要性があったとは認め難いとしました。

 これに対して、原告は、本件処遇により減給処分を受けるよりも大きい不利益を受けているとしました。

 そして、これらの事情を考慮すると、運転手への配車が配車係の裁量に委ねられていることを考慮しても、本件処遇は、合理的な裁量の範囲を逸脱した違法なものであるとして、被告らに対して差額賃金である約325万円の賠償を命じました。

※確定

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