【解雇事件マニュアル】Q2解雇にはどのような種類があるか

1 普通解雇と懲戒解雇
 解雇は、大きく普通解雇と懲戒解雇に分けることができる。
 普通解雇とは、民法627条1項等に基づく解約の申入れである(『類型別Ⅱ』386頁、菅野ら『労働法』774頁参照)。使用者の(普通)解雇権は民法上発生するため、理論上は雇用契約に解雇の定めがなかったとしても、使用者は普通解雇を行うことができる。もっとも、「解雇の事由」は就業規則の絶対的必要記載事項とされている(労契法89条3号)。
 懲戒解雇とは、企業秩序の違反に対して使用者によって課せられる一種の制裁罰として、使用者が有する懲戒権の発動により行われる解雇であり(『類型別Ⅱ』387頁参照)、懲戒処分の一種である。懲戒処分とは、従業員の企業秩序違反行為に対する制裁罰という性質をもつ不利益措置である(水町『詳解労働法』589頁、菅野ら『労働法』652頁参照)。使用者の懲戒権は、雇用契約(具体的には就業規則であることが多い)に懲戒の定めがあってはじめて発生するものである。懲戒解雇も、就業規則など雇用契約に懲戒解雇の定めがなければ使用者はこれを行うことができない。
 このように、普通解雇と懲戒解雇は、その根拠を異にする全く性質の異なるものである。懲戒処分である懲戒解雇には、解雇規制のほかに労契法15条(懲戒権濫用法理)など懲戒処分としての規制が適用される。

2 整理解雇
 整理解雇とは、使用者が経営上の必要性から人員削減を行うためにする解雇である(水町『詳解労働法』1015頁)。
 整理解雇は、民法627条1項等に基づく解雇であるから普通解雇の一種である(『類型別Ⅱ』396頁)。もっとも、整理解雇は、労働者の責めに帰すべき事由による解雇ではなく、使用者の経営上の理由による特殊な解雇であるから、その他の普通解雇と区別される。そのため、懲戒解雇でも整理解雇でもない解雇を「普通解雇」と呼ぶことも多い。
 整理解雇は、労働者の責めに帰すべき事由によらない解雇である。そのため、整理解雇が解雇権濫用に当たるかは、判例上以下の整理解雇の4要件(要素)により厳しく判断されている。
 ①人員削減の必要性
 ②使用者の解雇回避努力
 ③人選の合理性
 ④手続の相当性

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