Case69 英国法人に日本の労働契約法19条(雇止め規制)の適用が認められた事案・BGCキャピタルマーケッツジャパンLLCほか事件・東京地判平28.9.26【百選10版6】

(事案の概要)

 本件は、英国法人である被告法人から雇止めされた日本人である原告労働者が、日本の労働契約法19条の適用を主張し、雇止めの効力を争った事案です。

 原告と被告法人の契約では、英国法を準拠法とすることが定められていました。原告は、契約当初は英国で勤務していましたが、雇止め当時は日本支店で勤務していました。

 国際的な契約に適用される法律(準拠法)ついては、法の適用に関する通則法7条で、原則として契約時に当事者が選択した地の法律によるとされており、本件では準拠法は英国法になります。

 もっとも、通則法12条1項は、労働契約の特例として、労働者が労働契約に最も密接な関係がある地の法律(最密接関係地法)の特定の強行法規を適用すべき旨の意思を使用者に対して表示したときは、その強行法規が適用されるとしています。そして、同条2項は、労務提供地の法律を、最密接関係地法と推定するとしています。

(判決の要旨)

 判決は、通則法12条2項の労務提供地は、現実の労務の提供がどこでされたかを基に判断すべきであり、契約途中で勤務地が変わった場合には、新たな労務提供地の法を最密接関係地法と推定することが可能であるとしたうえ、本件について日本を労務提供地とし、日本法が最密接関係地法と推定されるとしました。

 被告法人は、契約締結地や当初の勤務地が英国であったこと、原告の賃金を英国ポンドで支払っていたこと、原告の雇用管理地が英国であること等の事情を挙げて上記推定を覆すべきだと主張しましたが、いずれも排斥され、日本の労働契約法19条の適用が認められました。

 もっとも、雇止めは有効と判断されています。

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