Case96 契約更新の上限を満50歳とする就業規則の不利益変更の合理性を事実上否定し、年齢を理由とする雇止めを無効とした事案・市進事件・東京高判平27.12.3労判1134.5

(事案の概要)

 原告労働者Aは、専任教務社員(50歳まで)ないし特別嘱託専任社員(51歳)として約20年間、契約期間1年の雇用契約を更新してきましたが、50歳を超えたという理由で被告会社から雇止めされました。

 原告労働者Bは、非常勤講師として約20年間、契約期間1年の雇用契約を更新してきましたが、能力不足を理由として会社から雇止めされました。

 会社は、原告らに対する本件雇止めの約10年前に就業規則を変更し、「専任が満50歳を超えた場合には、原則として翌年度の契約更新を行わない」という契約更新の上限を設ける制度を導入していました。一方、満51歳以上の者を対象に特別嘱託の制度を導入しました。

 本件は、原告らが、本件雇止めの無効を主張し、地位確認等を求めた事案です。

(判決の要旨)

一審判決

 一審判決は、原告Aについて、50歳不更新制度は、同制度を支える社会的事実が存在しないのに50歳を超えて雇用契約を更新しないとするものであるから、合理性のある制度とは到底認められないし、社会的相当性も到底認められないとして、雇止めを無効としました。

 また、原告Bの雇止めについても合理性も社会的相当性も認められないとして無効としました。

 会社が控訴しました。

控訴審判決

 控訴審は、50歳不更新制度を導入する就業規則の不利益変更は、満60歳までは代償措置としての特別嘱託ないしそれと同等の職務内容の職種での契約の更新を、年齢のみを理由として拒絶しない扱いをする限りにおいてのみ、効力を肯定することができるとし、その意味で原告Aには契約更新の合理的期待があったとしました。

 そして、就業規則変更の上記解釈に基づき、50歳を超えたという理由での雇止めには客観的合理性も社会通念上の相当性も認められないとし、一審判決を維持しました。

 原告Bについても、一審判決が維持されました。

※確定

Follow me!