Case153 病気休暇取得中に起きた部下の私生活上の不祥事について管理監督義務の懈怠があったとはいえないとして戒告処分が取り消された事案・みよし広域連合事件・高松高判令4.2.22

(事案の概要)

 懲戒処分の取消し等を求める行政訴訟です。

 原告労働者は、三好市・東みよし町によって構成される広域連合である被告連合が設置・運営する消防本部の長を務めていました。

 原告がうつ病により病気休暇を取得している間、消防本部の職員が飲酒運転によるひき逃げ事故を起こした自動車に同乗していた本件事故を起こしました。

 被告連合は、監督不行届きであるとして、原告に対して戒告の懲戒処分をし、懲戒処分を理由に定期昇給をしませんでした。

 本件は、原告が懲戒処分の取り消しを求めるとともに、定期昇給されたはずの差額賃金の支払いを求めた事案です。

(判決の要旨)

1審判決(徳島地判令3.9.15労判1261.87)

 判決は、本件事故発生当時は、原告は病気休暇取得中であり、病気休暇取得中は部下に対する管理監督義務の懈怠があったとはいえないとしました。

 一方、原告は病気休暇取得前までは部下職員に対する管理監督をすべき義務を負っており、その管理監督の範囲としては、当該公務員の職務自体に関する事項にとどまらず、私生活上の行為に関し、公務に対する信用および信頼を損なわないように指導監督することまで及ぶとしたうえ、原告の病気休暇取得前に当該部下が飲酒運転等の私生活上の非行に及ぶ蓋然性が高いというべき事情を認識していたなどの特段の事情があれば、より高度の管理監督義務を尽くすべきであったと解する余地があるが、本件ではそのような事情はないとし、懲戒処分を取り消し、差額賃金の支払いも認めました。

控訴審判決

 高裁も、1審判決を維持しました。

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