Case268 酒気帯び運転で逮捕された高校教諭の懲戒免職処分は有効としたが退職手当不支給処分のうち3割を支給しないとした部分のみ取り消した事案・宮崎県・県教委事件・仙台高判令4.5.26
(事案の概要)
被告宮城県の公立高校で教員をしていた原告労働者(勤続30年)は、勤務先の歓迎会で飲酒した帰りに自動車を運転し物損事故を起こし、酒気帯び運転で逮捕されました。
県教育委員会は、原告を懲戒免職処分とし、退職手当約1725万円の全部を支給しないこととする退職手当支給制限処分をしました。
本件は、原告が懲戒免職処分と退職手当支給制限処分の取消しを求めた事案です。
(判決の要旨)
判決は、原告の酒気帯び運転の態様が相当に悪質であるとし、原告が管理職でないもののベテラン教員として担任や教科主任を務めており職への高い信頼が求められていたことから、懲戒免職処分は社会観念上著しく妥当性を欠いて裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したとまでは評価できないとし、懲戒免職処分を有効としました。
一方で、退職手当を全額不支給とした処分は裁量権の範囲を逸脱した違法な処分であるとして、3割である約517万円を支給しないこととした部分のみを取り消しました。