Case290 少数派組合の深夜業免除者について不就労とされた日の賃金請求が一部認められた事案・日本航空インターナショナル事件・東京地判平19.3.26労判937.54
(事案の概要)
原告ら労働者は、被告会社の成田基地で客室業務員として勤務していました。
会社には、育児介護休業法に基づき深夜時間帯の勤務が免除される深夜業免除制度があり、同制度を利用した場合の不就業日は無給とされていました。
成田基地は国際線が多く、深夜業免除者に割当て可能な乗務パターンは限られていましたが、少数派労働組合に所属する深夜業務免除者である原告らに対しては多くても月2回程度しか乗務が割り当てられず残りの日は無給日とされた一方、多数派労働組合に所属する深夜業務免除者には毎月概ね10日の乗務が割り当てられていました。
本件は、原告が会社に対して、無給日とされた日に係る賃金の支払いを求めた事案です。
事業主は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者であって次の各号のいずれにも該当しないものが当該子を養育するために請求した場合においては、午後十時から午前五時までの間(以下この条及び第二十条の二において「深夜」という。)において労働させてはならない。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、この限りでない。
(略)
育児介護休業法第19条1項
(判決の要旨)
判決は、原告らは深夜時間帯における就労免除を求めたにすぎないから、原告らが、それ以外の時間帯において、客室乗務員としての労務を提供する意思及び能力を有しており、その履行を提供していたことは客観的に見て明らかであり、原告らのした労務の提供が債務の本旨に従った労務の提供として欠けるところがなかったとしました。
また、会社は、原告らが提供した債務の本旨に従った労務の受領を拒絶したと認めることができるとしました。
そして、多数派労働組合に所属する深夜業務免除者に割り当てられていた乗務の日数に至るまでの日数については、会社の受領拒絶による原告らの債務の履行不能は被告の責めに帰すべき事由に基づくものであるとし、当該日数の給与の支払いを認めました。
※確定