Case342 自宅を拠点に勤務していた労働者に対する賃金債務につき義務履行地が労働者の住所地であるとして同地に管轄を認めた事案・パールシステムズ事件・大阪高決平10.4.30判タ998.259

(事案の概要)

 東京に本店を構える本件会社と雇用契約を締結していた本件労働者は、西日本営業部長の肩書で神戸市内の自宅の一室を拠点として働いており、給料は振込みでした。

 本件労働者は、会社に解雇されたため、解雇無効確認及び未払賃金請求訴訟を自宅近くの神戸地裁に提起しましたが、会社は賃金債務の義務履行地は東京であるとして東京地裁への移送を申し立てました。

 原審が東京地裁への移送を決定したため、本件労働者が即時抗告しました。

(決定の要旨)

 決定は、本件においては、会社の本店所在地等に本件労働者が出向いて取立ての方法で給料を支払うことは予定されておらず、民法の原則通りに本件労働者の所在地で持参の方法で支払うことを予定しており、銀行振込は義務履行のための一つの方法であるとして、本件労働者の住所地が義務履行地となり、同地に管轄が認められるとして、移送申立てを却下しました。

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