Case376 採用面接においてHIV感染の事実を告げなかったことなどを理由とした内定取消しが違法とされた事案・社会福祉法人北海道社会事業協会事件・札幌地判令1.9.17労判1214.18

(事案の概要)

 社会福祉士である原告労働者は、病院を運営する被告法人から内定を得たものの、採用面接における質問に対してHIVに感染している事実を告げなかったことなどを理由に内定を取り消されました。法人は、運営する病院から原告の医療記録を取り寄せることで原告がHIVに感染していることを知りました。

 本件は、原告が法人に対して、内定取消しや医療情報の目的外使用が不法行為に該当するとして損害賠償請求した事案です。

(判決の要旨)

 判決は、原告が採用手続きにおいて法人にHIV感染の事実を告げる義務はなく、そもそも事業者が応募者に対しHIV感染の有無を確認することですら特段の事情のない限り許されないとして、内定取消しを違法としました。

 また、法人が原告の医療情報を、診療に必要な範囲を超えて採用活動に利用したことは原告に対する不法行為に当たるとしました。

 そして、法人に慰謝料150万円の支払いを命じました。

※確定

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