Case439 大学のコンプライアンス違反を指摘する記者会見に同行したことや匿名でのTwitter等を理由とする懲戒解雇を無効とし解雇後の定年後再雇用も認めた事案・学校法人札幌国際大学事件・札幌地判令5.2.16労判1293.34

(事案の概要)

 原告労働者は、被告法人の設置する大学で教授として勤務していました。

 原告は、①前学長が行った、大学の外国人留学生に関するコンプライアンス違反を指摘する記者会見に同行したことや、②匿名でのTwitterの投稿等を理由に懲戒解雇されました。

 本件は、原告が懲戒解雇の無効を主張して雇用契約上の地位の確認等を求めた事案です。

 原告は解雇後に定年を迎えたため、定年後再雇用の成否も問題となりました。

(判決の要旨)

1 懲戒解雇の有効性

 判決は、仮に本件記者会見等の内容に一部事実と異なる内容が含まれていたとしても、いずれも前学長が主体的に行ったものであり、原告の同行による精神的な寄与があるとしても、重要なものとはいえず、同行によって、法人の名誉毀損等が具体的に助長促進されたとはいえないこと、原告のTwitterは匿名で一般の読者の注意と読み方をもっても、原告による投稿だと認識することは困難で、法人に関する事実を摘示するものともいえず法人の社会的評価を低下させたとはいえないことなどから、原告の各行為は懲戒事由に該当しないとして本件懲戒解雇を無効とし、慰謝料50万円も認めました。

2 定年後再雇用の成否

 判決は、法人の就業規則は、定年を迎えた大学教員について、本人が希望し、解雇事由等に該当しない者については65歳まで継続雇用する旨を定めていることなどから、原告が65歳まで雇用が継続されるものと期待することに合理的な理由があるとして、定年後再雇用を認めました。

※控訴

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