【解雇事件マニュアル】Q7解雇予告制度は有期労働契約にも適用されるのか

1 期間途中の解雇

 有期労働契約であっても、やむを得ない事由があるときは、使用者は期間途中に労働者を解雇することができる(民法628条)。

 期間途中の解雇も、解雇である以上、労基法21条の適用除外に該当しない限り労基法20条の解雇予告制度が適用される。すなわち、民法628条の「やむを得ない事由」がある場合であっても、労基法20条1項但書の解雇予告除外事由(①天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合又は②労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合)に当たらなければ、期間途中の解雇にも30日間の解雇予告又は解雇予告手当の支払が必要となる(大阪地判昭46.11.11判タ274号276頁、『注釈労基法上』359頁)。

 民法628条の「やむを得ない事由」がある場合に、解雇予告除外事由(上記の①又は②)が認められないことはあるのだろうか。

 この点について、『注釈労基労契法1』287頁は、労働者の重大な義務違反または背信行為による解雇の場合には、民法628条の「やむを得ない事由」と解雇予告除外事由②(労働者の責めに帰すべき事由)とは重なり合うところが大きいとしている。他方で、使用者側に生じた事由による解雇(整理解雇)の場合には、解雇予告除外事由①(天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合)は民法628条の「やむを得ない事由」よりもさらに限定された事由であるとしている。

2 雇止め

 これに対して、期間満了により有期労働契約を解消する雇止めは解雇ではないため、解雇予告制度の適用があると直ちに解釈することは困難であるとされている(『類型別Ⅱ』558頁)。

 もっとも、労基法14条2項に基づく告示である『有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準』第2条は、使用者は、有期労働契約(当該契約を3回以上更新し、又は雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に係るものに限り、あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除く。)を更新しないこととしようとする場合には、少なくとも当該契約の期間の満了する日の30日前までに、その予告をしなければならないとしている。

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