2024年6月
【解雇事件マニュアル】Q19解雇権濫用の主張立証責任は
解雇権濫用は、権利濫用(民法1条3項)の一種であり、規範的要件である。 『類型別Ⅱ』368頁は、解雇権濫用の要件事実について、使用者の普通解雇の抗弁に対して、労働者が再抗弁として「解雇権の行使が、客観的に合理的な理由 […]
Case518 他の従業員との口論について事実確認もなく一方的に行われた期間途中の解雇を無効とし慰謝料請求も認めた事案・レラ・六本木販売事件・東京地判平28.4.15労経速2290.14
(事案の概要) 原告労働者は、平成12年4月に被告会社に正社員として入社し、平成16年9月まで勤務していました。原告は、結婚、出産を経て、再度会社で働くことになりました。会社では全従業員が正社員でしたが、育児の関係で原 […]
【解雇事件マニュアル】Q18解雇権濫用法理とは
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。 労契法16条 これは、判例上形成された解雇権濫用法理が、平成15年労基法改正により労基法上に明 […]
Case517 派遣元事業者と労働者との間の業務委託契約の実質が労働契約に当たり契約解除が期間途中の解雇に当たり無効であるとした事案・ハンプテイ商会ほか1社事件・東京地判令2.6.11労判1233号26頁
(事案の概要) 原告労働者は、派遣元事業者とソフトウェアに関する業務委託契約等を締結し、派遣先事業者でA社向けカスタマイズ業務を行っていました。 派遣元事業者は、原告に対して、業務委託契約の期間途中に、契約解除すると […]
【解雇事件マニュアル】Q17解雇予告手当の付加金を請求する際の留意点は
1 付加金の請求 使用者が解雇予告手当を支払わない場合、裁判所は、労働者の請求により、使用者に対して、使用者が支払わなければならない解雇予告手当と同額の付加金の支払を命じることができる(労基法114条)。 裁判所が使 […]
【解雇事件マニュアル】Q16解雇予告手当に労基法24条1項の通貨払い原則・直接払い原則が適用されるか
解雇予告手当は、労基法11条の賃金には当たらず、労基法により創設された特別の手当であると解されている(厚労省『労基法上』309頁)。 したがって、解雇予告手当には、賃金の通貨払い原則・直接払い原則を定めた労基法24条 […]
【解雇事件マニュアル】Q15解雇予告手当の遅延損害金の利率は
1 賃確法6条1項の年14.6%の適用の有無 解雇予告手当は、労基法11条の賃金には当たらず、労基法により創設された特別の手当であると解されている(厚労省『労基法上』309頁)。 リンガラマ・エクゼクティブ・ラングェ […]
Case516 月80時間を大幅に超える月約150時間分に相当する残業代として職務手当を支払うことは当事者の意思に反するとして固定残業代を無効とした事案・国・渋谷労基署長(カスタマーズディライト)事件・東京地判令5.1.26労判1307.5
(事案の概要) 本件会社においてマネージャー兼料理長として業務に従事していた原告労働者は、業務に起因して精神障害を発症したとして、労災申請し、休業補償給付の支給決定を受けました。 しかし、労基署は、職務手当が固定残業 […]
【解雇事件マニュアル】Q14解雇予告手当請求権はいつから遅滞に陥るか
解雇予告手当請求権がいつから遅滞に陥り、遅延損害金が発生するのかについては、裁判例によって見解が分かれている。 例えば、プラス資材事件・東京地判昭51.12.24判時841.101は、使用者は労働者に対して解雇予告手 […]
Case515 出勤簿ではなく労働者作成のノートによって実労働時間を認定し変形労働時間制を無効とした事案・エイチピーデイコーポレーション事件・那覇地沖縄支判令4.4.21労判1306.69
(事案の概要) 本件は、被告会社が経営する本件ホテルの従業員であった原告労働者が残業代請求をした事案です。 本件ホテルでは、タイムカード等による客観的な労働時間管理はされておらず、出勤簿の作成により労働時間管理がなさ […]