【解雇事件マニュアル】Q12解雇予告除外認定は解雇の効力発生要件か

 客観的には労基法20条1項ただし書の解雇予告除外事由が存在する場合に、同条3項の解雇予告除外認定なくされた即時解雇は有効であろうか。

 解雇予告除外認定の性質は、使用者の恣意的判断を規制する意図で監督指導上課せられた行政庁の確認行為であると解されている(厚労省『労基法上』327頁)。

 したがって、除外認定は即時解雇の効力発生要件ではなく、客観的に除外事由が存在する場合には除外認定のない即時解雇も有効である(厚労省『労基法上』327頁、菅野ら『労働法』744頁)。浅間工業所事件・東京地判昭38.9.9判時347号56頁も「この認定の制度の趣旨とするところは、除外事由の有無につき一応行政庁の判断を経由させることによつて使用者の恣意的な判断に基づく即時解雇を監督防止するにあり、行政庁の認定をもつて即時解雇の効力の発生の要件としたものではないと解するのが相当である。」としている。

 反対に、客観的には除外事由が存在しないのに労働基準監督署長により除外認定がなされた場合には即時解雇は無効である(厚労省『労基法上』327頁。もっとも、相対的無効。)。

 なお、除外認定なくされた即時解雇は労基法20条違反には当たるため罰則の対象にはなる。

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