【解雇事件マニュアル】Q45個別労働紛争解決促進法による解雇の禁止とは
1 都労府県労働局長の助言・指導(個別労働紛争解決促進法4条)
(個別労働紛争解決促進法4条)
都道府県労働局長は、個別労働関係紛争(労働関係調整法(昭和二十一年法律第二十五号)第六条に規定する労働争議に当たる紛争及び行政執行法人の労働関係に関する法律(昭和二十三年法律第二百五十七号)第二十六条第一項に規定する紛争を除く。)に関し、当該個別労働関係紛争の当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合には、当該個別労働関係紛争の当事者に対し、必要な助言又は指導をすることができる。
2 都道府県労働局長は、前項に規定する助言又は指導をするため必要があると認めるときは、広く産業社会の実情に通じ、かつ、労働問題に関し専門的知識を有する者の意見を聴くものとする。
3 事業主は、労働者が第一項の援助を求めたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
個別労働紛争解決促進法4条1項は、都道府県労働局長は、個別労働関係紛争に関し、当事者からその解決につき援助を求められた場合には、当事者に対し必要な助言又は指導をすることができるとしている。
そして、同条3項は、使用者は、労働者が上記援助を求めたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないとしている。
均等法11条2項と同様、解雇が、労働者が個別労働紛争解決促進法4条1項の援助を求めたことを契機として行われたと認められる場合には、原則として同条3項の禁止する解雇に当たるものと解され、違法・無効もしくは不法行為に該当し損害賠償の対象となり得るだろう。
2 紛争調整委員会によるあっせん(個別労働紛争解決促進法5条)
(個別労働紛争解決促進法5条)
都道府県労働局長は、前条第一項に規定する個別労働関係紛争(労働者の募集及び採用に関する事項についての紛争を除く。)について、当該個別労働関係紛争の当事者(以下「紛争当事者」という。)の双方又は一方からあっせんの申請があった場合において当該個別労働関係紛争の解決のために必要があると認めるときは、紛争調整委員会にあっせんを行わせるものとする。
2 前条第三項の規定は、労働者が前項の申請をした場合について準用する。
個別労働紛争解決促進法5条は、都道府県労働局長は、個別労働関係紛争(募集・採用に関する事項についての紛争を除く。)について、当事者からあっせんの申請があった場合において当該個別労働関係紛争の解決のために必要があると認めるときは、紛争調整委員会にあっせんを行わせるとしている。
そして、同条2項は、同法4条3項を準用して、使用者は、労働者が上記あっせんの申請をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないとしている。
均等法11条2項と同様、解雇が、労働者が個別労働紛争解決促進法5条1項のあっせんの申請をしたことを契機として行われたと認められる場合には、原則として同条2項の禁止する解雇に当たるものと解され、違法・無効もしくは不法行為に該当し損害賠償の対象となり得るだろう。