【解雇事件マニュアル】Q75 解雇理由証明書を求める回数に制限はあるか

 一度使用者から解雇理由証明書が交付された後に、労働者が使用者に対して解雇理由証明書の交付を再度求めることができるか。

 平11.3.31基発169号は、退職時の証明を求める回数については制限はないとしている。

 したがって、労基法22条1項及び2項の要件を満たす限り、労働者は何度でも使用者に対して解雇理由証明書の交付を求めることができる(ただし、当然のことながら権利濫用は許されないであろう。)。

 QCYで述べたとおり、使用者が抽象的な解雇理由の記載しかない解雇理由証明書を交付してきた場合、労働者としては、具体的な解雇理由を記載した解雇理由証明書を再度交付するよう求めるべきであるし(この場合、使用者は適法な解雇理由証明書を交付していないのであるから、再度の交付義務を負うのは当然である。)、単に解雇理由証明書を紛失してしまった場合などにも、労働者は使用者に対して解雇理由証明書を再度交付するよう求めることができ、使用者はこれを拒むことができない。

 解雇理由証明書の再発行を求める場合には、権利濫用でないことを示して使用者とのトラブルを避けるため、労働者は再度の交付が必要な理由を説明すべきであろう。

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