【解雇事件マニュアル】Q76普通解雇とは

 普通解雇とは、民法627条1項等に基づく労働契約の解約の申入れである(『類型別Ⅱ』386頁、菅野ら『労働法』774頁参照)。使用者の(普通)解雇権は民法上発生するため、理論上は労働契約に解雇の定めがなかったとしても、使用者は普通解雇を行うことができる。もっとも、「解雇の事由」は就業規則の絶対的必要記載事項とされている(労契法89条3号)。
 普通解雇は、使用者が有する懲戒権の発動により行われる、懲戒処分の一種である懲戒解雇(『類型別Ⅱ』387頁参照)とは区別される。
 使用者が経営上の必要性から人員削減を行うためにする解雇である整理解雇(水町『詳解労働法』1015頁)も、民法627条1項等に基づく解雇であるから普通解雇の一種である(『類型別Ⅱ』396頁)。もっとも、整理解雇は、労働者の責めに帰すべき事由による解雇ではなく、使用者の経営上の理由による特殊な解雇であるから、その他の普通解雇と区別される。そのため、懲戒解雇でも整理解雇でもない解雇を「普通解雇」と呼ぶことも多い。

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