【解雇事件マニュアル】Q47公益通報をしたことを理由とする解雇の無効とは

(公益通報者保護法2条)

 この法律において「公益通報」とは、次の各号に掲げる者が、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的でなく、当該各号に定める事業者(法人その他の団体及び事業を行う個人をいう。以下同じ。)(以下「役務提供先」という。)又は当該役務提供先の事業に従事する場合におけるその役員(法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人並びにこれら以外の者で法令(法律及び法律に基づく命令をいう。以下同じ。)の規定に基づき法人の経営に従事している者(会計監査人を除く。)をいう。以下同じ。)、従業員、代理人その他の者について通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしている旨を、当該役務提供先若しくは当該役務提供先があらかじめ定めた者(以下「役務提供先等」という。)、当該通報対象事実について処分(命令、取消しその他公権力の行使に当たる行為をいう。以下同じ。)若しくは勧告等(勧告その他処分に当たらない行為をいう。以下同じ。)をする権限を有する行政機関若しくは当該行政機関があらかじめ定めた者(次条第二号及び第六条第二号において「行政機関等」という。)又はその者に対し当該通報対象事実を通報することがその発生若しくはこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者(当該通報対象事実により被害を受け又は受けるおそれがある者を含み、当該役務提供先の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある者を除く。次条第三号及び第六条第三号において同じ。)に通報することをいう。

 一 労働者(労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第九条に規定する労働者をいう。以下同じ。)又は労働者であった者当該労働者又は労働者であった者を自ら使用し、又は当該通報の日前一年以内に自ら使用していた事業者(次号に定める事業者を除く。)

 二 派遣労働者(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号。第四条において「労働者派遣法」という。)第二条第二号に規定する派遣労働者をいう。以下同じ。)又は派遣労働者であった者当該派遣労働者又は派遣労働者であった者に係る労働者派遣(同条第一号に規定する労働者派遣をいう。第四条及び第五条第二項において同じ。)の役務の提供を受け、又は当該通報の日前一年以内に受けていた事業者

 三 前二号に定める事業者が他の事業者との請負契約その他の契約に基づいて事業を行い、又は行っていた場合において、当該事業に従事し、又は当該通報の日前一年以内に従事していた労働者若しくは労働者であった者又は派遣労働者若しくは派遣労働者であった者当該他の事業者

 四 役員次に掲げる事業者

  イ 当該役員に職務を行わせる事業者

  ロ イに掲げる事業者が他の事業者との請負契約その他の契約に基づいて事業を行う場合において、当該役員が当該事業に従事するときにおける当該他の事業者

2 この法律において「公益通報者」とは、公益通報をした者をいう。

3 この法律において「通報対象事実」とは、次の各号のいずれかの事実をいう。

 一 この法律及び個人の生命又は身体の保護、消費者の利益の擁護、環境の保全、公正な競争の確保その他の国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法律として別表に掲げるもの(これらの法律に基づく命令を含む。以下この項において同じ。)に規定する罪の犯罪行為の事実又はこの法律及び同表に掲げる法律に規定する過料の理由とされている事実

 二 別表に掲げる法律の規定に基づく処分に違反することが前号に掲げる事実となる場合における当該処分の理由とされている事実(当該処分の理由とされている事実が同表に掲げる法律の規定に基づく他の処分に違反し、又は勧告等に従わない事実である場合における当該他の処分又は勧告等の理由とされている事実を含む。)

4 この法律において「行政機関」とは、次に掲げる機関をいう。

 一 内閣府、宮内庁、内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項若しくは第二項に規定する機関、デジタル庁、国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関、法律の規定に基づき内閣の所轄の下に置かれる機関若しくはこれらに置かれる機関又はこれらの機関の職員であって法律上独立に権限を行使することを認められた職員

 二 地方公共団体の機関(議会を除く。)

(公益通報者保護法3条)

 労働者である公益通報者が次の各号に掲げる場合においてそれぞれ当該各号に定める公益通報をしたことを理由として前条第一項第一号に定める事業者(当該労働者を自ら使用するものに限る。第九条において同じ。)が行った解雇は、無効とする。

 一 通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると思料する場合 当該役務提供先等に対する公益通報

 二 通報対象事実が生じ、若しくはまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由がある場合又は通報対象事実が生じ、若しくはまさに生じようとしていると思料し、かつ、次に掲げる事項を記載した書面(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録を含む。次号ホにおいて同じ。)を提出する場合 当該通報対象事実について処分又は勧告等をする権限を有する行政機関等に対する公益通報

  イ 公益通報者の氏名又は名称及び住所又は居所

  ロ 当該通報対象事実の内容

  ハ 当該通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると思料する理由

 ニ 当該通報対象事実について法令に基づく措置その他適当な措置がとられるべきと思料する理由

 三 通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由があり、かつ、次のいずれかに該当する場合その者に対し当該通報対象事実を通報することがその発生又はこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者に対する公益通報

  イ 前二号に定める公益通報をすれば解雇その他不利益な取扱いを受けると信ずるに足りる相当の理由がある場合

  ロ 第一号に定める公益通報をすれば当該通報対象事実に係る証拠が隠滅され、偽造され、又は変造されるおそれがあると信ずるに足りる相当の理由がある場合

  ハ 第一号に定める公益通報をすれば、役務提供先が、当該公益通報者について知り得た事項を、当該公益通報者を特定させるものであることを知りながら、正当な理由がなくて漏らすと信ずるに足りる相当の理由がある場合

  ニ 役務提供先から前二号に定める公益通報をしないことを正当な理由がなくて要求された場合

  ホ 書面により第一号に定める公益通報をした日から二十日を経過しても、当該通報対象事実について、当該役務提供先等から調査を行う旨の通知がない場合又は当該役務提供先等が正当な理由がなくて調査を行わない場合

  ヘ 個人の生命若しくは身体に対する危害又は個人(事業を行う場合におけるものを除く。以下このヘにおいて同じ。)の財産に対する損害(回復することができない損害又は著しく多数の個人における多額の損害であって、通報対象事実を直接の原因とするものに限る。第六条第二号ロ及び第三号ロにおいて同じ。)が発生し、又は発生する急迫した危険があると信ずるに足りる相当の理由がある場合

1 概要

 公益通報者保護法3条柱書は、労働者が一定の公益通報をしたことを理由として使用者が行った解雇は無効であるとしている。

 公益通報とは、労働者(労働者であった者や役員も対象となるが本書では省略する。)が①不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的でなく、②役務提供先又はその役員、従業員、代理人その他の者について通報対象事実が生じ、またはまさに生じようとしている旨を、③一定の通報先に通報することをいう(同法2条1項柱書)。

 役務提供先には、通報者の使用者(同項1号)のみならず、通報者が派遣労働者である場合の労働者派遣の役務の提供を受ける者(同項2号)や労働者が取引先との契約に基づく事業に従事している場合の当該取引先(同項3号)も含まれる。

 通報対象事実は、対象法律(公益通報者保護法、同法別表及び政令で定める400以上の法律。これらの法律に基づく命令を含む。)に規定する罪の犯罪行為の事実、過料の理由とされている事実(同法2条3項1号)、対象法律の規定に基づく処分に違反することが犯罪行為や過料の理由となる場合における当該処分の理由とされている事実(当該処分の理由とされている事実が対象法律の規定に基づく他の処分に違反し、又は勧告等に従わない事実である場合における当該他の処分又は勧告等の理由とされている事実を含む。)である。

 同法2条1項柱書の公益通報であればすべて解雇制限の対象になるわけではなく、同法3条各号は、通報先毎に解雇制限の対象となる公益通報の要件を定めている。

2 役務提供先等に対する公益通報(1号通報)

 役務提供先等(役務提供先もしくは当該役務提供先があらかじめ定めた者)に対する公益通報は、労働者が、通報対象事実が生じ、またはまさに生じようとしていると思料する場合であれば解雇制限の対象となる(公益通報者保護法3条1号)。

 公益通報の定義と合わせると、1号通報の要件は以下のとおりである。

 ①不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的でないこと。

  「不正の利益を得る目的」とは、公序良俗に反する形で自己または他人の利益を図る目的をいう(『改正公益通報者保護法』114頁)。

  「他人に損害を加える目的」とは、他人に対して、社会通念上通報のために必要かつ相当な限度内にとどまらない財産上の損害、信用の失墜その他の有形無形の損害を加える目的をいう(同頁)。

  「その他の不正の目的」とは、公序良俗に反する目的をいい、単に金銭を得る目的、被通報者に対する反感、交渉を有利に進めようとする目的等が併存していたからといって、不正の目的があるとはいえない(同頁)。この点、学校法人國士舘ほか(戒告処分等)事件・東京高判令3.7.28(一審東京地判令2.11.12労判1238号30頁)は、内部規程上の「不正目的」の有無について争われた事案であるが、労働者の通報に不正目的があるとはいえないとした。他方、ボッシュ事件・東京地判平25.3.26労経速2179号14頁は、労働者の通報行為について、自らの内部通報に理由がないことを知りつつ、かつ自らの法務室への異動希望を実現させるという個人的な目的のために通報を行ったものであるとして、不正の目的に出たものであるとした(出勤停止処分および解雇有効)。また、富国生命投資顧問事件・東京地判令元.10.25労経速2411号30頁は、労働者の通報行為について、自己の作業量が著しく少ないことを正当化し、社長らに嫌がらせをするなど不当な目的をもってなされたもので公益通報に当たらないとした(解雇有効)。

  不正の目的の立証責任は使用者の側にある(『改正公益通報者保護法』114頁)。

 ②役務提供先又はその役員、従業員、代理人その他の者について通報対象事実が生じ、またはまさに生じようとしている旨の通報であること。

  細かく分解すると、a役務提供先における事実に係る通報であること、b通報対象事実に係る通報であること、c現実性または切迫性がある旨の通報であることが必要となる。

  「生じ」とは、過去に発生した事実が現在は継続していない場合も含み、公益通報者保護法の施行前の事実や、公訴時効が成立している事実も対象となる(『改正公益通報者保護法』118~119頁)。

  「まさに生じようとしている」とは、通報対象事実の発生が切迫しており、発生する蓋然性が高い場合を意味するが、予定している行為の具体的内容が事業者内部で確定しているような場合には、実行までに一定の時間的間隔があっても対象となる(同119頁)。この点、社会福祉法人むぎのめ事件・神戸地判令2.12.3判例秘書L07551298は、障害者福祉施設の従業員が、県や市に対して、施設における作業により感染症のリスクが生じている旨の通報を行ったことを理由に解雇された事案において、通報時点において感染症の危険性がなくなっており、業務上過失傷害罪にあたる事実がまさに生じようとしていたものとは解されないとして、公益通報者保護法3条の適用を否定した(労契法16条により解雇無効)。

 ③上記通報対象事実が生じ、またはまさに生じようとしていると思料したこと。

  「思料した」とは、そのように信じたことを意味し、結果として内容が真実でなくとも、かつ、信じたことについて特段の根拠も必要ない(『改正公益通報者保護法』155頁)。

 ④役務提供先もしくは当該役務提供先があらかじめ定めた者に対する通報であること。

  「役務提供先」には、事業者そのもの(代表者)のみならず、事業者の役員、従業員らが含まれ得る。消費者庁の『通報先に関するQ&A』は、「通報者が、職場の上司や役員に公益通報することはできますか。」との問いへの回答として「職場の上司や、経営上の不正を是正できる役員(取締役や監査役等)などへの通報も公益通報に該当し得ます。なお、通報対象事実と疑われる行為の内容について職制上のレポーティングライン(いわゆる上司等)やその他の労働者(例えば、同僚や他部署の管理職等)・役員に対して報告がされた場合、報告という形をとっていても公益通報に該当し得ます。」としている。

  「役務提供先があらかじめ定めた者」とは、役務提供先が通報先としてあらかじめ定めた外部窓口をいう。親会社やグループ共通窓口、弁護士、法律事務所などが典型例であるが、これらに限定されるものではない(『改正公益通報者保護法』123頁)。

3 行政機関等に対する公益通報(2号通報)

 当該通報対象事実について処分又は勧告等をする権限を有する行政機関等に対する公益通報は、労働者が、通報対象事実が生じ、若しくはまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由がある場合又は通報対象事実が生じ、若しくはまさに生じようとしていると思料し、かつ、一定の事項を記載した書面を提出する場合に解雇制限の対象となる(公益通報者保護法3条2号)。

 公益通報の定義と合わせると、2号通報の要件は以下のとおりである。

 ①不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的でないこと。

 ②役務提供先又はその役員、従業員、代理人その他の者について通報対象事実が生じ、またはまさに生じようとしている旨の通報であること。

 ①及び②については、1号通報と同様である。

 ③次のいずれかの場合であること。

  a通報対象事実が生じ、若しくはまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由がある場合

   名誉毀損の抗弁における真実相当性と同様の要件である。通報内容が真実である場合や、仮に真実でなかったとしても真実であると信じたことについて過失がない場合には、相当の理由が認められる(『改正公益通報者保護法』157~158頁参照)。

  b通報対象事実が生じ、若しくはまさに生じようとしていると思料し、かつ、一定の事項を記載した書面を提出する場合

   真実相当性が認められない場合でも、労働者が、通報対象事実が生じ、若しくはまさに生じようとしていると思料し(1号通報参照)、かつ、公益通報者保護法3条2号所定の以下の事項を記載した書面(メールやフォームへの入力等を含む。)を提出する方法で通報をする場合には、解雇制限の対象となる。

   イ 公益通報者の氏名又は名称及び住所又は居所

   ロ 当該通報対象事実の内容

   ハ 当該通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると思料する理由

   ニ 当該通報対象事実について法令に基づく措置その他適当な措置がとられるべきと思料する理由

 ④当該通報対象事実について処分又は勧告等をする権限を有する行政機関等に対する通報であること。

  「行政機関」とは、内閣府、宮内庁、内閣府設置法第四十九条第一項若しくは第二項に規定する機関、デジタル庁、国家行政組織法第三条第二項に規定する機関、法律の規定に基づき内閣の所轄の下に置かれる機関若しくはこれらに置かれる機関又はこれらの機関の職員であって法律上独立に権限を行使することを認められた職員(公益通報者保護法2条4項1号)、並びに地方公共団体の機関(議会を除く。同項2号)をいう。

  「行政機関等」とは、上記行政機関若しくは当該行政機関があらかじめ定めた者をいう(同条1項柱書)。

  「処分」とは、命令、取消しその他公権力の行使にあたる行為をいい、行政事件訴訟法3条2項の「処分」と同様である(『改正公益通報者保護法』123頁)。

  「勧告等」とは、勧告その他処分にあたらない行為をいい、行政指導など、行政処分に該当しない是正措置が広く含まれる(同124頁)。

4 その他の者に対する公益通報(3号通報)

 その者に対し当該通報対象事実を通報することがその発生又はこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者に対する公益通報は、労働者に、通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由があり、かつ、特定事由に該当する場合に解雇規制の対象となる。

 公益通報の定義と合わせると、3号通報の要件は以下のとおりである。

 ①不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的でないこと。

 ②役務提供先又はその役員、従業員、代理人その他の者について通報対象事実が生じ、またはまさに生じようとしている旨の通報であること。

 ①及び②については、1号通報と同様である。

 ③通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由があること。

  2号通報の③aと同様である。

 ④特定事由に該当すること。

  公益通報者保護法3条3号に挙げられた以下の特定事由のいずれかに該当することが必要である。特定事由については『改正公益通報者保護法』163~171頁を参照。

  イ 1号2号通報をすれば解雇その他不利益な取扱いを受けると信ずるに足りる相当の理由がある場合

  ロ 1号通報をすれば当該通報対象事実に係る証拠が隠滅され、偽造され、又は変造されるおそれがあると信ずるに足りる相当の理由がある場合

  ハ 1号通報をすれば、役務提供先が、当該公益通報者について知り得た事項を、当該公益通報者を特定させるものであることを知りながら、正当な理由がなくて漏らすと信ずるに足りる相当の理由がある場合

  ニ 役務提供先から1号2号通報をしないことを正当な理由がなくて要求された場合

  ホ 書面により1号通報をした日から二十日を経過しても、当該通報対象事実について、当該役務提供先等から調査を行う旨の通知がない場合又は当該役務提供先等が正当な理由がなくて調査を行わない場合

  ヘ 個人の生命若しくは身体に対する危害又は個人(事業を行う場合におけるものを除く。以下このヘにおいて同じ。)の財産に対する損害(回復することができない損害又は著しく多数の個人における多額の損害であって、通報対象事実を直接の原因とするものに限る。)が発生し、又は発生する急迫した危険があると信ずるに足りる相当の理由がある場合

 ⑤その者に対し当該通報対象事実を通報することがその発生又はこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者に対する通報であること。

  消費者庁の『通報先に関するQ&A』は、具体例として、「消費者利益の擁護のために活動する消費者団体」、「加盟事業者の公正な活動を促進する事業者団体」、「行政機関による不正行為等を監視する各種オンブズマン団体」、「弁護士や公認会計士が運営する公益通報者支援団体」、「国政調査権を行使する国会の議員」、「多数の者に対して事実を知らせる報道機関」、「労働組合」、「取引先事業者」を挙げているが、あくまで個別の実態により判断される(『改正公益通報者保護法』125頁)。学校法人田中千代学園事件・東京地判平23.1.28労判1029号59頁は、週刊誌の記者ないし公刊元について、裏付け取材をしない報道姿勢を非難し、少なくとも当該事件に関する限り3号通報先に当たらないとした(解雇有効)。

  3号通報先には、当該通報対象事実により被害を受け又は受けるおそれがある者を含み、当該役務提供先の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある者は含まれない(公益通報者保護法2条1項柱書)。

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