今日の労働裁判例
【残業代、変形労働時間制】Case561 月間スケジュールによる1か月単位の変形労働時間制を無効とし日中手当が深夜割増賃金の算定基礎賃金に含まれるとした事案・社会福祉法人幹福祉会事件・東京高判令5.10.19労判1318.97
(事案の概要) 障害者福祉サービスを提供する被告会社で、ケアスタッフとして居宅支援サービス等の業務に従事していた原告労働者の残業代請求事件です。 1 変形労働時間制 本件では1か月単位の変形労働時間制の有効性が争点と […]
【労災】Case560 同僚を怒鳴りつけたことが自招行為に当たらないとして同僚から受けた暴行による負傷について業務起因性を認めた事案・国・向島労基署長事件・東京地判令6.1.24労経速2561.33
(事案の概要) 労災不支給決定に対する取消訴訟です。 トレーラーの運転手である原告労働者は、乗務を終えて駐車場に車両を駐車して降車したところ、後から隣に駐車しようとした同僚Aに対して「コラー」「あぶねーだろうがよ」等 […]
【不当解雇、退職勧奨、PIP】Case559 PIPを経て行われた能力不足解雇が十分な指導・教育が行われていないとして無効とされた事案・華為技術日本事件・東京地判令6.3.18労経速2563.20
(事案の概要) 原告労働者は、情報通信機器の開発等を行う被告会社に月給60万円のデジタルマーケティングマネージャーとして中途採用され、2018年8月から勤務を開始しました。 会社は、2019年9月から同年10月までの […]
【不当解雇、試用期間】Case558 日本語能力の欠如を理由とする外国人労働者に対する試用期間途中の本採用拒否が無効とされた事案・R&L事件・東京地判令5.12.1労経速2556.23
(事案の概要) 外国人労働者である原告は、令和3年10月25日、契約期間1年間、試用期間3か月の条件で被告会社にプロジェクトマネージャーとして採用されました。 会社は、同年11月25日、①業務を円滑に遂行するための日 […]
【残業代、固定残業代、変形労働時間制、配転】Case557 求人票記載の基本給の合意を認め求人詐欺を訴える労働者に不利益を課す目的の配転命令が違法であるとした事案・足利セラミックラボラトリー事件・仙台高判令5.11.30労判1318.71
(事案の概要) 原告労働者は、被告会社の歯科技工士の求人票を見て、会社の採用試験に応募しました。求人票の「賃金」欄には、基本給与17万円、出勤奨励手当5500円、精勤手当5000円の合計18万5000円、「時間外手当」 […]
【残業代、仮眠時間、変形労働時間制】Case556 2名体制の当直設備員の仮眠時間が労働時間に当たるとされ1か月単位の変形労働時間制が無効とされた事案・大成事件・東京高判令6.4.24労判1318.45
(事案の概要) ビルの設備機器を運転操作し、点検・整備などの保守作業を行う設備員(エンジニアリングスタッフ)である原告労働者ら3名が、被告会社に対して残業代請求した事案です。 原告ら設備員は、2名体制での当直勤務の際 […]
【残業代、出来高払制、変形労働時間制】Case555 売上や作業件数に応じて支給される業績給等が出来高払制賃金に当たらないなどとされた事案・サカイ引越センター事件・東京高判令6.5.15労判1318.17
(事案の概要) 引越運送業務に従事していた原告労働者ら3名が、被告会社に対して残業代請求した事案です。 【主な争点】 ①業績給A(売上給)、業績給A(件数給)、業績給B、愛車手当および無事故手当が労基則19条1項の「出 […]
【不当解雇、試用期間】Case554 試用期間途中の本採用拒否には試用期間満了時に比べてより一層高度の合理性と相当性が求められるとされた事案・ニュース証券事件・東京高判平21.9.15労判991.153
(事案の概要) 原告労働者は、証券会社である被告会社と試用期間6か月の無期雇用契約を締結し、平成19年5月21日から営業職の課長として勤務していました。 会社は、試用期間中である同年9月3日、営業担当としての資質を欠 […]
【不当解雇、試用期間、残業代、固定残業代】Case553 獣医師の能力不足を理由とする本採用拒否を無効とするとともに休日割増を含むのか判然としない固定残業代の定めを無効とした事案・ファニメディック事件・東京地判平25.7.23労判1080.5
(事案の概要) 獣医師である原告労働者は、被告会社と試用期間6か月の雇用契約を締結しました。 会社は、臨床能力の不足(院内で実施する学科試験の成績が悪い、診療内容に多くの問題がある、カルテの記載に不備が多い、診療検数 […]
【不当解雇、試用期間】Case552 試用期間満了による本採用拒否が認められる範囲はそれほど広いものではないとした事案・ライトスタッフ事件・東京地判平24.8.23労判1061.28
(事案の概要) 原告労働者は、被告会社と試用期間3か月の無期雇用契約を締結し、保険外交員として勤務していました。原告は、会社代表者からの受動喫煙を理由に体調不良を訴えました。代表者は、原告に対して、自主退職するか、即時 […]