今日の労働裁判例

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【労災、過労死、過労自殺、精神障害】Case511 上司による「主任失格」などの叱責や結婚指輪を外せとの命令がパワハラに当たるとしてうつ病発症及び自殺の業務起因性が認められた事案・名古屋南労基署長(中部電力)事件・名古屋高判平19.10.31労判954.31

(事案の概要)  労災不支給決定に対する取消訴訟です。  本件労働者は、平成11年8月に所属する環境整備課の主任(管理職ではないが、一般職の最高職)に昇格しました。  本件労働者の上司であるAは、本件労働者に対して、「主 […]

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【労災、損害賠償】Case510 右足関節機能障害を持つ労働者を異動させず家庭訪問業務を継続させたことが安全配慮義務違反に当たるとされた事案・大和高田市事件・奈良地葛城支判令4.7.15労判1305.47

(事案の概要)  原告労働者は、一般職として被告大和高田市に採用され、平成8年度からは市税の徴収業務に従事していました。  原告は、平成9年5月に交通事故に遭い、右足関節捻挫、右大腿部打撲等の傷害を負い、平成10年11月 […]

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【労働者性、フリーランス、残業代】Case509 裏方業務及び公演出演について劇団員の労基法上の労働者性が認められた事案・エアースタジオ事件・東京高判令2.9.3労判1236.35

(事案の概要)  原告労働者は、会社が運営する本件劇団に劇団員として入団しました。  本件劇団は、年末には翌年の公演の年間スケジュールを組み、2つの劇場を利用して年間約90本の公演を行っていました。  劇団員は、公演への […]

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【労災、精神障害】Case508 3か月間具体的な業務を与えなかったことが使用者の裁量権を逸脱するものであるとして精神障害の業務起因性が認められた事案・国・広島中央労基署長(中国新聞システム開発)事件・広島高判平27.10.22労判1131.5

(事案の概要)  労災不支給決定に対する取消訴訟です。  原告労働者は、本件会社においてシステム運用の業務を行っており、マシンルーム(セキュリティ室およびサーバー室)への入室を認められていました。  原告がうつ病により休 […]

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【損害賠償】Case507 医師をすべての臨床担当から外したことが病院の合理的な裁量の範囲を逸脱した違法な差別的処遇に当たるとされた事案・学校法人兵庫医科大学事件・大阪高判平22.12.17労判1024.37

(事案の概要)  原告労働者は、15年以上勤務医としての他院で働き、平成2年から被告法人が設置する本件病院において耳鼻咽喉科の医師として勤務していました。  しかし、法人は、平成6年1月から原告に本件病院の診察を一切担当 […]

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【不当解雇、解雇予告手当】Case506 解雇予告義務違反の即時解雇の効力につき選択権説に立って労働者の解雇予告手当の請求権を認めた裁判例・宇田工業事件・大阪地判昭60.12.23労判467.74

(事案の概要)  原告労働者は、昭和57年9月、被告会社から、経営困難に陥り裁判所へ和議申請(民事再生)をしたことを理由に即時解雇され、解雇予告手当も支払われませんでした。  会社は、和議申請の直前の昭和57年5月に退職 […]

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【労働組合、損害賠償】Case505 懲戒処分ではない日勤教育について必要かつ相当とはいえず使用者の裁量権を逸脱したものとして違法とされた事案・JR西日本(森ノ宮電車区・日勤教育等)事件・大阪高判平21.5.28労判987.5

(事案の概要) 1 日勤教育  原告労働組合の組合員である運転士の原告Aは、電車の運転中に停止位置を行き過ぎて自動ブレーキが作動したにもかかわらず、無断でこれを復帰させ、この事実を報告しないまま一旦退社し、午後になって係 […]

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【労災、精神障害、懲戒処分】Case504 業務に起因する精神疾患を発症した状況で送信された上司及び取引先に対するメールを理由とする降格処分が無効とされた事案・セントラルインターナショナル事件・東京高判令4.9.22労判1304.52

(事案の概要)  原告労働者の上司であるA部長は、昼前に出勤することや早い時間に退社することが多かったため、原告は、A部長の勤務態度についてA部長や専務に抗議するなどしていました。  しかし、特別改善等が見受けられず、A […]

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【損害賠償】Case503 配車係がけん引運転手に対して出張手当等が付く配車を止めたことが合理的な裁量を逸脱し違法であるとされた事案・向島運送ほか事件・横浜地判令5.3.3労判1304.5

(事案の概要)  原告労働者は、被告会社においてけん引運転手として勤務していました。  原告は、被告配車係の決定に従い、出張手当及び早出手当が付く配車(出張等配車)を受け、両手当を合計して月平均約13万円の手当を受けてお […]

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【労災、損害賠償】Case502 下請会社の後継ぎである養成社員の長時間労働及び上司からのパワハラについて会社に勤務管理義務及びパワハラ防止義務違反が認められた事案・日本土建事件・津地判平21.2.19労判982.66

(事案の概要)  建設業を営む被告会社の下請会社の後継ぎ息子であった本件労働者は、養成社員として被告会社に入社してから2か月足らずで過酷な本件現場に配属されました。  本件労働者は連日長時間労働をしていましたが、被告会社 […]

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