Case7 無連絡欠勤を理由とする降格処分及び休職命令が違法とされた事案・東菱薬品工業事件・東京地判令2.3.25労判1247.76

(事案の概要)
 原告は、業務外の事由により長期欠勤していました。会社は、出社の意向を示した原告に対して、正式な休職手続を経ていないものの、復職の手続を準用して診断書の提出を明じました。原告が提出した診断書には、軽作業であれば就業可能である旨記載されていましたが、会社は原告に対して正式に休職を明じました。
 また、会社は、原告の復職に当たって就業規則にない有給の試し出勤を実施したり、原告に無連絡欠勤があったとして降格の懲戒処分や始末書の提出をさせたりしました。

 本件は、原告が、降格処分の無効を主張し役職手当の減給分の支払を求めるとともに、上記を含む会社の行為がハラスメントに当たるとして損害賠償請求した事案です。

(判決の要旨)
 判決は、原告が正式な欠勤の手続を経ていないものの、無連絡欠勤があったとまではいえないとして、降格処分を無効としました。

 また、上記降格処分及びそれに付随する始末書の提出命令に加え、会社が、原告の診断書提出後に産業医と協議したり原告の体調を確認することなく休職を命じたことを違法とし、会社に対して慰謝料30万円の支払を明じました。

 一方で、休職期間中に試し出勤を実施するかは使用者の合理的な裁量に委ねられているとして、会社が試し出勤を実施したこと等は違法でないとしました。

※控訴

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