Case24 退職に追い込む目的の配置転換が無効とされた事案・医療法人社団弘恵会(配転)事件・札幌地判令3.7.16労判1250.40

(事案の概要)

 介護施設を経営する被告は、デイケア部門の休止に伴い、同部門の介護職員であった原告を新設のH課に配置転換(第1配転命令)しました。被告は、新たに賃借したアパートの一室をH課の事務所とし、3台のカメラを設置し原告を監視しました。

 被告は、デイケア部門の職員を採用し、デイケア部門再開の準備をしている中で、原告をデイケア部門とは異なる入所部門に配置転換(第3配転命令。第2配転命令もありましたが、すぐに撤回されたので割愛。)しました。

 原告は、入所部門での就労を拒否し、デイケア部門での就労を求めていました。

 本件は、原告が第3配転命令の有効性を争い、被告に対して、第3配転命令後入所部門で就労できなかった期間の賃金請求や損害賠償請求を行った事案です。

(判決の要旨)

 判決は、被告は、原告を本件施設から隔離し、監視カメラの設置された異様な環境で孤立させ、あえてそのような場で行う必要がないような業務を行わせることで、原告に精神的苦痛を与え、あるいは原告を退職に追い込むといった、不当な動機・目的によって第1配転命令を行ったと認定しました。

 そして、第3配転命令に至る経緯、内容、その必要性、原告の希望およびこれに対する被告側の認識その他の事情を総合考慮すると、第3配転命令も、第1配転命令と同様に、原告を意に沿わない部署に異動させて精神的苦痛を与え、あるいは原告を退職に追い込むといったような、不当な動機・目的により行われたものであるとし、第3配転命令を無効としました。

 また、第3配転命令以降、原告がデイケア部門での労務を提供することができないのは、被告が無効な第3配転命令に基づいて労務の受領を拒絶しているからであって、これは被告の責めに帰すべき事由といえるとして、民法536条2項に基づく賃金請求を認めました。

 さらに、被告の一連の行為による慰謝料100万円等が認められました。

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