Case52 組合員に対する復職拒否及び団体交渉での不誠実な対応が不当労働行為に当たるとされた事案・国・中労委(学校法人神奈川歯科大学)事件・東京地判令23.6.26労判1237.53

(事案の概要)

 中央労働委員会がした不当労働行為救済命令に対する法人による取消訴訟です。

 労働組合員である労働者が、多発性硬化症の所見が認められたことを法人に報告したところ、法人は、確定診断が出ているわけではないにもかかわらず、労働者に対して12か月の休職命令を発し、就労可能の診断書及び復職願が出ているにもかかわらず復職拒否を続けました。

 また、法人は、休職命令の撤回等を交渉事項とした団体交渉においても、撤回の予定はない旨の回答を行いました。

 労働組合の不当労働行為救済申立において、神奈川県労働委員会は、法人が復職可能の診断書及び復職願が出た後も復職拒否を続けたこと、法人が休職中であることを理由に労働者の賃金を減額し賞与を支払わなかったこと、休職命令撤回に関する団体交渉に誠実に応じなかったことがそれぞれ不当労働行為であるとして、法人に対して労働者に対する未払賃金及び賞与の支払、並びに文書手交を命じました。

 法人の再審査申立において、中央労働委員会は、復職拒否(不利益取扱い及び支配介入)並びに団体交渉の対応(不誠実団交及び支配介入)が不当労働行為に該当するが、労働者に休業手当が支払われたこと等により労働者の経済的損害は回復されたとして、法人に対して文書手交のみ命じました。

(判決の要旨)

 判決は、法人の訴えを棄却しました。

1 復職拒否

 判決は、労組法7条1項の不利益取扱いには、人事上の不利益取扱いも広く含まれるとしたうえ、復職を拒否することは、それによって労働者が種々の不利益を被ることが明らかであるから、本件復職拒否は労組法7条1項の不利益取扱いに当たるとしました。

 また、本件復職拒否は、法人が労働者及び組合を嫌悪し、労働者の休職を継続させることで、職場から労働者や組合の影響力を排除しようとしてしたものであるとし、支配介入に当たるとしました。

2 団交対応

 判決は、団体交渉において実質的な合意をすることはしないとの法人の対応は、合意達成に向けた誠実な対応とはいいがたいものであるとして、不誠実団交に当たるとしました。

 また、法人の団交対応は、労働者の復職に向けた労働組合の活動を妨害するものであり、支配介入に当たるとしました。

※確定

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