Case73 大阪市の対応が団交拒否及び支配介入の不当労働行為に該当するとされた事案・大阪府・府労委(大阪市・市労組)事件・大阪高判R4.2.4労経速2484.7
(事案の概要)
大阪市の職員が加入する本件労働組合は、約370名の構成員のうち3名が労働組合法が適用される職員で、その余は地方公務員法が適用される職員でした。
本件労働組合は、大阪市に対して組合事務所供与に関する団体交渉を申し入れていましたが、大阪市は、管理運営事項に当たるものについて交渉はできないと回答しました。
そこで、本件労働組合が労働委員会に不当労働行為救済申立てをしたところ、大阪府労委は団体交渉拒否及び支配介入の不当労働行為に当たるとして、団体交渉応諾と謝罪文の手交を命じる救済命令を行いました。
本件は、大阪市が、本件労働組合は実質的に地方公務員法上の職員団体であり不当労働行為救済命令の申立適格を欠く等と主張して、救済命令の取消しを求めた取消訴訟です。
(判決の要旨)
1審判決・大阪地判R3.7.29労判1255.49
判決は、地方公務員法上の職員団体と労組法上の労働組合の複合的性格を持つ混合組合は、労組法適用職員に関する事項に関して不当労働行為救済命令の申立適格を有するところ、本件労働組合は地方公務員法適用職員と労組法適用職員双方の問題として団交申入れをしたのであるから、労組法適用職員の割合が少ないという理由で救済が及ばなくなると解することは相当でないとして、大阪市の主張を退けました。
そして、管理運営事項に該当せず団体交渉に応ずべき事項について具体的に確認すべき立場に市があるにもかかわらず、その点について十分に確認することのないまま団体交渉に応じなかったとして、大阪市の対応は正当な理由のない団体交渉拒否及び支配介入に該当するとしました。
控訴審判決
控訴審も、1審判決を維持しました。