Case98 復職要件に「健康時と同様」の業務遂行が可能であることを付加する就業規則の不利益変更が不合理であるとされた事案・アメックス(休職期間満了)事件・東京地判平26.11.26労判1112.47

(事案の概要)

 原告労働者は、業務外傷病(うつ状態)により休職していました。

 原告の休職中、会社は就業規則に「復職とは従来の業務を健康時と同様に通常業務遂行できる状態の勤務を行うこと」などとする規定を新設しました。

 その後、原告は、復職可能の診断書を提出して復職を求めましたが、会社は、上記就業規則の要件を満たしていないとして、復職を拒否して原告を休職期間満了により退職扱いとしました。

 原告は、会社に対して、上記就業規則の適用を争い、休職事由は消滅していたとして、雇用契約上の地位確認や賃金の支払等を求めました。

(判決の要旨)

 判決は、上記就業規則は、従来規定されていない「健康時と同様」の業務遂行が可能であることを、復職条件として追加するものであって、労働条件の不利益変更に当たるとしました。

 また、業務外障害のうち特に精神疾患は、一般に再発の危険性が高く、完治も容易なものではないことからすれば、「健康時と同様」の業務遂行が可能であることを復職の条件とする本件変更は、業務外傷病者の復職を著しく困難にするものであって、その不利益の程度は大きいものである一方で、本件変更の必要性及びその内容の相当性を認めるに足りる事情は見当たらないとして、本件変更の合理性を否定しました。

 そして、原告の休職事由は消滅していたとして、原告の請求を認容しました。

※控訴

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