Case107 退職勧奨における上司の発言が不法行為に該当するとされた事案・東武バス日光ほか事件・東京高判令3.6.16労判1260.5

(事案の概要)

 バスの運転手である原告労働者は、乗客の高校生らに対する暴言等があったとして、上司複数名と2回に渡りそれぞれ約1時間面談をしました。その面談の中で、原告が「反省している」「辞めたくない」と繰り返し述べているにもかかわらず、上司らは「男ならけじめをつけろ」「他の会社に行け」「退職願を書け」などと述べました(本件退職勧奨)。

 その他、原告は上司から侮辱的発言を含む叱責を受けたり、運転士服務心得の黙読や書き写しなどの業務指示を受けたりました。

 原告は、本件退職勧奨における上司の発言や、その他上司の侮辱的発言や業務指示が不法行為に当たるとして、会社及び上司らに対して慰謝料200万円の支払等を求めました。

(判決の要旨)

 判決は、本件退職勧奨発言は、原告に対し、単にこのままでは雇用継続できない旨の会社の判断を伝えて自主退職するか否かの検討を求めるにとどまらず、繰り返し辞職を迫り、考慮の機会を与えないままその場で退職願の作成等の手続きをさせようとしたものというべきであり、その発言の内容および態様ならびにその後の原告の精神状態に照らし、労働者に対し明確かつ執拗に辞職を求めるものであり、これに応じるか否かに関する労働者の自由な意思決定を促す行為として許される限度を逸脱し、その自由な意思決定を困難にするものであって違法であるとして、会社及び上司らの責任を認め、慰謝料20万円の支払を命じました。

 その他の上司の侮辱的発言や業務指示は不法行為に当たらないとされました。

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