Case193 自宅を事務所とするよう命じられたことを理由とする有期雇用契約の即時解約は会社の故意過失によるものであるとして残期間の賃金相当額の賠償を認めた事案・マガジンプランニング事件・京都地判平23.7.4労旬1752.83
(事案の概要)
原告労働者は、被告会社の大阪支店で働いていましたが、会社は、原告以外の大阪支店の従業員が退職するのに伴い、大阪支社を廃止することにしました。
原告は、本社所属の大阪事務所の駐在員として、会社と新たに1年間の有期労働契約を締結し、しばらく元大阪支社の場所を大阪事務所とした後、新たな事務所に移転することとなりました。
しかし、会社は新たな事務所を賃借せず、原告に対して、原告の自宅を大阪事務所とする自宅事務所転勤命令を告げました。
原告は、会社が勤務場所を大阪事務所とする労働条件に違反し、やむを得ない事由(民法628条)があるとして、会社に対して契約期間中の即時解約を通知をしたうえ、残りの契約期間の賃金相当額の損害賠償を請求しました。
(判決の要旨)
判決は、自宅事務所転勤命令は、原告の労働条件、当該命令による原告及びその家族の不利益の内容及び程度、当該命令の合理的必要性の程度に照らして、被告の配転命令権の範囲を逸脱するものであり、大阪事務所を賃借等せず、原告の就労場所を確保しなかったことを理由にされた本件解約告知は、会社の故意過失によるやむを得ない事由によるものであるとし、残りの契約期間の賃金相当額の損害を認めました。