Case346 大学教授の他の学部への配転命令権を否定しA学部教授として勤務する地位の確認を認めた事案・学校法人追手門学院(追手門学院大学)事件・大阪地判平27.11.18労判1134.33

(事案の概要)

 原告労働者は、被告法人の設置する本件大学でA学部教授として勤務していました。

 原告は、立候補のない学長選挙を経て、本件大学の学長を命じられました。本件大学では、教授から学長に就任した者は、出身学部の教授会には在籍しないこととする慣行があり、原告も学長在任中はA学部教授会には出席していませんでした。

 原告は、学長を辞任した後、A学部教授会に復帰し、教授としての給与の支払いも受けていました。ところが、法人は、原告を新たに設けた教育研究所に配置転換しました(本件配転命令)。教育研究所における原告の業務は、講演会の企画及び講師の手配等のみでした(その後も同様の配転命令が2回行われました)。

 本件は、原告が法人に対して、本件配転命令の無効を主張し、本件大学A学部教授として勤務する労働契約上の地位の確認や慰謝料の支払いを求めた事案です。

 法人は、学長就任に伴い原告が当然に教授の地位を喪失していたと主張しました。

(判決の要旨)

 判決は、学長就任により教授の地位を喪失する慣行や明示・黙示の合意があったとはいえないとしました。

 また、本件労働契約の内容を規律する就業規則のいずれにも、配転命令権の根拠となる具体的な規定は存在せず、本件労働契約において原告の同意なくA学部以外の学部に配転を命じうる権限を定めているとは認められないとして、権利濫用を論ずるまでもなく本件配転(続く2回の配転も含む)を無効とし、本件大学A学部教授として勤務する労働契約上の地位の確認や慰謝料50万円の支払いを認めました。

※控訴後取下げ

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