Case363 内定予定日の数日前にされた採用内々定の取消しが期待権侵害の不法行為に当たるとして慰謝料請求が認められた事案・コーセーアールイー(第2)事件・福岡高判平23.3.10労判1020.82

(事案の概要)

 原告は、被告会社の新卒採用に応募し、採用内々定の通知を受け、入社承諾書を提出しました。原告は、採用内々定の通知を受けていた他社に断りの連絡を入れました。

 ところが、会社は、内定通知書の交付予定日の数日前になって、経営悪化を理由に原告の採用内々定を取り消しました。

 本件は、原告が会社に対して採用内々定が不法行為に当たるとして損害賠償請求した事案です。

 原告は雇用契約の成立も主張しましたが、否定されています。

(判決の要旨)

 判決は、採用内定通知書交付の日程が定まり、そのわずか数日前に至った段階では、労働契約が確実に締結されるであろうとの原告の期待は、法的保護に十分に値するものであるから、会社の内々定取消しは、労働契約締結過程における信義則に反し、原告の上記期待利益を侵害するものとして不法行為を構成するとして、慰謝料50万円を認めました。

※確定

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