Case405 無期雇用契約締結後に任期制が導入された大学教員の雇止めが無効とされ20%の給与減額及び降格処分も無効とされた事案・ノースアジア大学(本訴)事件・秋田地判平24.10.12労判1066.48
(事案の概要)
原告労働者は、平成15年4月に被告法人と期間の定めのない雇用契約を締結して大学教員として勤務していました。平成19年4月、法人が任期制規程を導入して任期制を導入したことから、原告は同意により任期付教員となりました。
原告は、学生募集活動の一環として512の高校に送信したFAXが所定の手続きに従っていなかったとして、平成21年11月に准教授から講師への降格処分を受けました。また、学科が定員割れした責任を問われ基本給を20%減額されました。そして、平成22年3月に雇止めされました。
本件は、原告が法人に対して20%の賃金減額、降格処分及び雇止めがそれぞれ無効であるとして准教授としての地位の確認等を求めた事案です。
(判決の要旨)
1 降格処分の有効性
判決は、降格処分について、原告のFAX送信行為が大学の規則に反しているかことが必ずしも明らかでなく、問題があるともいえず、処分の相当性を欠くことは明らかであるとして懲戒権の濫用にあたり無効であるとしました。
2 給与減額の有効性
法人は、原告が黙示に減額に同意していたと主張しましたが、定員割れの責任が原告にあるとは必ずしもいえず、黙示の同意を基礎づける事実は認められないとして給与減額を無効としました。
3 雇止めの有効性
判決は、当初期間の定めのない雇用契約を締結していた中で任期制が導入された経緯などから、原告と法人との間の有期雇用契約は、特段の問題がない限り更新されることが前提のものとして合意されていたとして、更新の合理的期待があったとし解雇権濫用法理が類推適用されるとしました(労働契約法19条改正前の事案です。)。
そして、雇止めには客観的合理的理由がないとして、雇止めを無効とし、准教授としての地位の確認等を認めました。
※控訴