Case462 入社直後に精神障害等級3級であることのみを理由としてなされた退職勧奨が不法行為に当たるとして慰謝料80万円が認められた事案・中倉陸運事件・京都地判令5.3.9労判1297.124

(事案の概要)

 精神障害等級3級の認定を受けている原告労働者は、職務経歴書に「健康状態は良好ではあるものの持病がある為、月に1日通院しております。」と記載し、うつ病の診断書を提出したうえで被告会社に雇用され令和2年8月1日から就労を開始しました。

 ところが、同月4日に原告が会社に「精神障害3級」の記載のある書類を提出したところ、会社は、同日原告の雇用継続は困難であるとして、原告に対して、翌々日の6日に退職手続きのために出社するよう求めました。

 原告は、同月6日に退職理由を「一身上の事由」とする退職届を提出しました。

 本件は、原告が退職の無効当を主張し、雇用契約上の地位確認や損害賠償請求をした事案です。

(判決の要旨)

 判決は、退職を有効としました。

 もっとも、会社は、原告が精神障害等級3級との認定を受け、通院して服薬治療を受けていることのみをもって、その病状の具体的内容、程度は勿論、主治医や産業医等専門家の治験を得るなどして医学的知見からの業務遂行に与える影響の検討を何ら加えることなく、退職勧奨に及んだものといわざるを得ないとし、会社の退職勧奨行為は、障害者である原告に対して適切な配慮を欠き、原告の人格的利益を損なうものであって、不法行為を構成するとして、慰謝料80万円を認めました。

※控訴

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