【解雇事件マニュアル】Q15解雇予告手当の遅延損害金の利率は
1 賃確法6条1項の年14.6%の適用の有無
解雇予告手当は、労基法11条の賃金には当たらず、労基法により創設された特別の手当であると解されている(厚労省『労基法上』309頁)。
リンガラマ・エクゼクティブ・ラングェージ・サービス事件・東京地判平11.7.13労判770号120頁は、解雇予告手当は賃金ではないことを理由に、解雇予告手当の遅延損害金について賃確法6条1項の適用はないとした。東京地判令元.6.28判例秘書L07430274も、解雇予告手当は労基法11条の賃金には当たらないことを理由に、解雇予告手当の遅延損害金について賃確法6条1項の適用はないとした。
したがって、解雇予告手当の遅延損害金については、民法404条2項所定の年3%(平成29年法律第44号による改正前は年5%)の利率が適用される。
2 商事法定利率の適用の有無
平成29年法律第44号による改正後の民法の施行日である令和2年4月1日より前に遅滞に陥った解雇予告手当について、商事法定利率の年6%(当時)が適用されるかが問題となることがあった。
東京地判平30.9.25判例秘書L07330637及び大阪地判令元.9.5判例秘書L07451003は、解雇予告手当は雇用契約に基づき発生するものではなく、法律が特に認めたものであるから、商行為性はないとして、商事法定利率の適用を否定し、民法所定の年5%(当時)の利率を適用した。