2024年6月

今日の労働裁判例
Case514 降格に伴う基本給の減給について合意又は就業規則等の明確な根拠がないとしてその合理性を検討するまでもなく無効とした事案・日本HP事件・東京地判令5.6.9労判1306.42

(事案の概要)  原告労働者は、マーケティングマネージャーの業務に従事していましたが、管理職としての能力不足等を理由として、上司から給与6か月分の退職パッケージで退職するか、年収を25%減額することに同意するか、口頭で選 […]

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解雇事件マニュアル
【解雇事件マニュアル】Q13解雇を争わずに解雇予告手当を請求することはできるか

 判例上、解雇予告手当を支払わずにされた解雇予告義務違反の即時解雇であっても、使用者が即時解雇に固執しない場合には、解雇の意思表示から30日の期間を経過すれば解雇の効力が有効に発生するとされている(細谷服装事件・最二小判 […]

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今日の労働裁判例
Case513 募集要項の記載から無期雇用契約の成立を認定したうえ有期雇用への変更合意を否定し労働者の「退勤」のツイートを終業時刻と認定した事案・司法書士法人はたの法務事務所事件・東京高判令5.3.23労判1306.52

(事案の概要)  原告労働者は、被告法人が求人サイトに掲載していた庶務事務の募集要項をみて、これに応募しました。募集要項には、「雇用形態 正社員」「試用期間3か月」と記載されていました。原告は、採用面接において法人から雇 […]

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解雇事件マニュアル
【解雇事件マニュアル】Q12解雇予告除外認定は解雇の効力発生要件か

 客観的には労基法20条1項ただし書の解雇予告除外事由が存在する場合に、同条3項の解雇予告除外認定なくされた即時解雇は有効であろうか。  解雇予告除外認定の性質は、使用者の恣意的判断を規制する意図で監督指導上課せられた行 […]

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今日の労働裁判例
Case512 複数の職場における脱退勧奨等の事実を認めつつ約2万4000人の組合員の脱退について会社の組織的関与を否定した事案・JR東日本(組合脱退勧奨)事件・東京高判令6.4.24

(事案の概要) ⑴ 概要  原告ら労働者A~Dは、被告JR東日本に駅員や車掌、運転士として勤務しており、東日本旅客鉄道労働組合(JR東労組)東京地方本部(東京地本)の組合員でした。  JR東労組には平成30年2月の段階で […]

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解雇事件マニュアル
【解雇事件マニュアル】Q11解雇予告義務違反の解雇の効力は

 労基法20条の解雇予告義務違反、すなわち客観的に解雇予告除外事由が存在しないのに、30日前の解雇予告または30日分の解雇予告手当の支払をしないでなされた解雇は有効であろうか。  学説では、絶対的無効説、有効説、相対的無 […]

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解雇事件マニュアル
【解雇事件マニュアル】Q10解雇予告手当の基礎となる平均賃金の計算方法は

1 平均賃金の定義  解雇予告手当の基礎となる平均賃金は、労基法12条に従って計算される。同条は、平均賃金を「これを算定すべき事由の発生した日以前三箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した […]

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解雇事件マニュアル
【解雇事件マニュアル】Q9解雇予告手当は労基法11条の賃金に当たるか

 解雇予告手当は、労働の対償として支払われるものではないから、労基法11条の賃金には当たらないとされている。解雇予告手当は、労基法により創設された特別の手当であると解されている(厚労省『労基法上』309頁)。  したがっ […]

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今日の労働裁判例
Case511 上司による「主任失格」などの叱責や結婚指輪を外せとの命令がパワハラに当たるとしてうつ病発症及び自殺の業務起因性が認められた事案・名古屋南労基署長(中部電力)事件・名古屋高判平19.10.31労判954.31

(事案の概要)  労災不支給決定に対する取消訴訟です。  本件労働者は、平成11年8月に所属する環境整備課の主任(管理職ではないが、一般職の最高職)に昇格しました。  本件労働者の上司であるAは、本件労働者に対して、「主 […]

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