【解雇事件マニュアル】Q43パート有期法による解雇の禁止とは

1 事業者が講ずる措置等の内容についての説明(パート有期法14条)

(パート有期法14条)

1 略

2 事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者から求めがあったときは、当該短時間・有期雇用労働者と通常の労働者との間の待遇の相違の内容及び理由並びに第六条から前条までの規定により措置を講ずべきこととされている事項に関する決定をするに当たって考慮した事項について、当該短時間・有期雇用労働者に説明しなければならない。

3 事業主は、短時間・有期雇用労働者が前項の求めをしたことを理由として、当該短時間・有期雇用労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

 パート有期法14条2項は、使用者は、その雇用する短時間・有期雇用労働者から求めがあったときは、当該短時間・有期雇用労働者と通常の労働者との間の待遇の相違の内容及び理由並びに同法6条から13条までの規定により措置を講ずべきこととされている事項に関する決定をするに当たって考慮した事項について、当該短時間・有期雇用労働者に説明しなければならないとしている。

 そして、同法14条3項は、使用者は、短時間・有期雇用労働者が上記求めをしたことを理由として、当該短時間・有期雇用労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないとしている。

 「理由として」とは、当該短時間・有期雇用労働者が上記求めたことについて、使用者が当該短時間・有期雇用労働者に対して不利益な取扱いを行うことと因果関係があることをいう(『実務コンメ均等法等』132頁)。

2 都道府県労働局長による紛争の解決の援助(パート有期法24条)

(パート有期法22条)

 事業主は、第六条第一項、第八条、第九条、第十一条第一項及び第十二条から第十四条までに定める事項に関し、短時間・有期雇用労働者から苦情の申出を受けたときは、苦情処理機関(事業主を代表する者及び当該事業所の労働者を代表する者を構成員とする当該事業所の労働者の苦情を処理するための機関をいう。)に対し当該苦情の処理を委ねる等その自主的な解決を図るように努めるものとする。

(パート有期法23条)

 前条の事項についての短時間・有期雇用労働者と事業主との間の紛争については、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律(平成十三年法律第百十二号)第四条、第五条及び第十二条から第十九条までの規定は適用せず、次条から第二十七条までに定めるところによる。

(パート有期法24条)

 都道府県労働局長は、前条に規定する紛争に関し、当該紛争の当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合には、当該紛争の当事者に対し、必要な助言、指導又は勧告をすることができる。

2 事業主は、短時間・有期雇用労働者が前項の援助を求めたことを理由として、当該短時間・有期雇用労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

 パート有期法24条1項は、同法22条及び23条が定める一定の紛争(同法6条1項、8条、9条、11条1項及び12条から14条までに定める事項に関する紛争)について、都道府県労働局長は、当該紛争の当事者からその解決につき援助を求められた場合には、当該紛争の当事者に対し、必要な助言、指導又は勧告をすることができるとしている。

 そして、同法24条2項は、使用者は、労働者が同条1項の援助を求めたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないとしている。

 均等法11条2項と同様、解雇が、労働者がパート有期法24条1項の援助を求めたことを契機として行われたと認められる場合には、原則として同条2項の禁止する解雇に当たるものと解され、違法・無効もしくは不法行為に該当し損害賠償の対象となり得るだろう。

3 紛争調整委員会による調停(パート有期法25条)

(パート有期法25条)

都道府県労働局長は、第二十三条に規定する紛争について、当該紛争の当事者の双方又は一方から調停の申請があった場合において当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第六条第一項の紛争調整委員会に調停を行わせるものとする。

2 前条第二項の規定は、短時間・有期雇用労働者が前項の申請をした場合について準用する。

 パート有期法25条1項は、同法22条及び23条が定める一定の紛争(同法6条1項、8条、9条、11条1項及び12条から14条までに定める事項に関する紛争)について、都道府県労働局長は、当該紛争の当事者から調停の申請があった場合において当該紛争の解決のために必要があると認められるときは、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律6条1項の紛争調整委員会に調停を行わせるとしている。

 そして、パート有期法25条2項は、同法24条2項を準用し、使用者は、労働者が同法25条1項の調停の申請をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないとしている。

 均等法11条2項と同様、解雇が、労働者がパート有期法25条1項の調停の申請をしたことを契機として行われたと認められる場合には、原則として同条2項の禁止する解雇に当たるものと解され、違法・無効もしくは不法行為に該当し損害賠償の対象となり得るだろう。

Follow me!