2025年9月
【労災】Case621 うつ病にり患している労働者に対して上司が心理的負荷を与える言動をしないようにすべき注意義務の違反が認められた事案・食品会社A社(障害者雇用枠採用社員)事件・札幌地判令元.6.19労判1209.64
【事案の概要】 本件は、被告Y社に障害者雇用枠で採用されY社の工場で事務をしていた労働者Kが自殺したことについて、Kの母である原告Xが、Kの上司であったDの発言およびY社がKの要望に応じて業務量を増加させなかったことなど […]
【不当解雇】Case620 条件付採用職員につき勤務成績不良等を理由に行われた条件付採用期間の延長処分及び免職処分が無効とされた事案・羽曳野市事件・大阪地判令7.1.22労判1334.18
【事案の概要】 原告労働者Xは、令和4年4月から同年9月までの条件付で、被告羽曳野市(Y市)の職員(事務職・社会福祉関係事務)として採用され、こども家庭支援課に配属されました。Y市は人事委員会を設置しない地方公共団体です […]
【解雇事件マニュアル】Q86 懲戒解雇には労働契約上の根拠が必要か
懲戒解雇に労働契約上の根拠は必要か。労働契約及び就業規則に懲戒解雇の規定がない場合に、使用者が労働者を懲戒解雇することはできるか。 懲戒権の根拠について、最高裁はかつて、「使用者は、広く企業秩序を維持し、もって企業の […]
【不当解雇】Case619 懲戒目的の配転命令が不当な動機・目的によるものとして無効とされ配転命令拒否を理由とする解雇も無効とされた事案・天翔物産福岡事件・福岡高判令5.2.21労判1334.78
【事案の概要】 原告労働者Xは、飲食店経営等を業とする被告Y社入社し、異動を繰り返していたところ、平成30年10月、宮城県新名取店の店長Jから顔面を平手打ちされるなどの暴行(本件暴行)を受け、両者間で喧嘩が発生しました。 […]
【解雇事件マニュアル】Q85 懲戒解雇の理由を後から追加することはできるか
1 懲戒解雇の意思表示時点で存在していた事由の追加 使用者が、労働者に懲戒解雇を通告した際には主張していなかった事由を、解雇訴訟等において後から解雇理由に追加して主張することがある。このような解雇理由の事後的な追加は許 […]
【労災】Case618 振動工具の使用による振動病の発症について使用者が適切な作業計画を策定すべき義務を怠ったとして損害賠償が認められた事案・兵庫県公立大学法人(振動病)事件・神戸地姫路支判令7.1.23
労働者が草刈機などの振動工具を長時間使用したことにより振動病を発症した場合、使用者に対して損害賠償請求できるのでしょうか。 【事案の概要】 原告労働者Xは、被告Y法人の事務嘱託員として任用され、2020年3月までY法人が […]
【過労自殺】Case617 先輩社員らによる頻繁な叱責行為等による自殺について会社と先輩社員らの責任が認められた事案・乙山青果ほか事件・名古屋高判平29.11.30労判1175.26
【事案の概要】 被告Y1社に雇用されていた労働者Aが、うつ病を発症して自殺した事案です。 Aの両親である原告Xらは、Y1社の先輩従業員(被告Y2およびY3)によるパワー・ハラスメントと、Y1社がその事態を放置したこと、さ […]
【解雇事件マニュアル】Q84労働協約による解雇の手続的制限の効力は
労働協約に、例えば会社が解雇を行うときには労働組合と事前に協議することを要するなどの解雇の手続規定がある場合、この労働協約上の手続きを経ずに行われた解雇は無効になるのか。 解雇の手続規定が労組法16条の「労働条件その […]
【労働者性】Case616 研修医の労働者性を認めた最高裁判例・関西医科大学研修医(未払賃金)事件・最二小判平17.6.3労判893.14
研修医は労働基準法上の「労働者」に該当するのでしょうか。 【事案の概要】 原告研修医Xは、1998年4月から2000年3月まで被告Y法人が運営する大学病院の研修医として研修プログラムに参加しました。この研修は医師法に基づ […]
【解雇事件マニュアル】Q83 就業規則による解雇の手続的制限の効力は
就業規則に、例えば会社が解雇を行うときには労働組合と事前に協議することを要するなどの解雇の手続規定がある場合、この就業規則上の手続きを経ずに行われた解雇は無効になるのか。 解雇の手続規定が労契法7条の「労働条件」に該 […]