【不当解雇】Case663 労働者の配慮・柔軟性・連携の不足が認定されたが具体的な業務の支障や損害が生じておらず普通解雇が無効とされた事案・ギットハブ・ジャパン事件・東京地判令6.11.1日労判1345号44頁

【事案の概要】

原告労働者Xは、被告Y社との間で労働契約を締結し、シニアカスタマーサクセスマネージャーとして業務に従事していました。Y社は、Xに対し、日本語や英語によるコミュニケーション能力の不足、他部門(技術的問題を担当するCSAや営業部門等)との連携・協働の欠如、柔軟性の不足、および他の従業員が新型コロナウイルスに感染したという健康情報を顧客に無断で伝達したことなどを理由に、就業規則に定める「勤務成績が不良で、改善の見込みに乏しいと認めるとき」および「会社の秩序を乱し又は協調性を欠き、従業員として不適格であると認めるとき」に該当するとして、普通解雇(本件解雇)を行いました。

これに対しXは、本件解雇が無効であるとして、労働契約上の権利を有する地位の確認、および解雇後の未払賃金等の支払いを求めて提訴しました。

一方Y社は、解雇の有効性を争うとともに、Xが解雇後に他企業に就職して収入を得ていることから「就労意思を喪失している」と主張し、仮に解雇が無効だとしても他企業での収入を中間利益として控除すべきだと主張しました。

【判決の要旨】

裁判所は、本件解雇を無効と判断し、Xの地位確認および未払賃金(バックペイ)の請求を一部認容しました。

1. 解雇の客観的合理性・社会的相当性

裁判所は、Xについて他部門や他チームに対する配慮不足、柔軟性の不足、連携不足があったことは認定し、改善すべき課題であったとしました。しかし、具体的な業務への支障や現実的な損害を生じたところはないとしました。

そして、Xについて認めることのできる他部門や他チームに対する配慮不足、柔軟性の不足、連携不足を踏まえても、その内容、頻度、影響に照らすと、Y社の就業規則において定める「勤務成績が不良で、改善の見込みに乏しいと認めるとき」又は「会社の秩序を乱し又は協調性を欠き、従業員として不適格であると認めるとき」に直ちに該当する程度とまではいい難く、客観的に合理的な理由を欠くものといわざるを得ないし、また、これをもって本件解雇に至ったことが社会通念上相当であると認めることも困難であるとしました。

2. 他企業での就労による就労意思の喪失

Xが解雇後に他企業に就職したことをもって「雇用関係がないことを自認(就労意思の喪失)している」とするY社の主張に対し、裁判所は、解雇の効果を争う労働者が、生計を維持するために暫定的に仕事に就き、収入を得ることが直ちに就労意思を喪失したものということはできないとしました。

もっとも、中間収入控除は認めました。

※確定

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