Case271 派遣先での就労禁止条項が派遣法33条に違反し無効であるとして派遣会社から元従業員らに対する損害賠償請求が棄却された事案・バイオスほか(サハラシステムズ)事件・東京地判平28.5.31労判1275.127
(事案の概要)
派遣会社である原告会社が、被告労働者ら3名及び派遣先会社である被告会社を訴えた事案です。
原告会社は、雇用する被告労働者らを被告会社に派遣していました。原告会社と被告労働者らとの雇用契約には、契約終了から1年間は派遣先の業務をしてはならない旨の禁止条項が付されていました。また、原告会社と被告会社との間の基本契約には、双方の退職後6か月以内の元社員を雇用してはならない旨の禁止合意が付されていました。
本件は、被告会社が原告会社を退職した被告労働者らを雇用したため、原告会社が、被告らに対して、禁止条項及び禁止合意違反に基づく損害賠償請求をした事案です。
禁止条項及び禁止合意が派遣法33条に違反するかが争点となりました。
1項 派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者との間で、正当な理由がなく、その者に係る派遣先である者に当該派遣元事業主との雇用関係の修了後雇用されることを禁ずる旨の契約を締結してはならない。
2項 派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者に係る派遣先である者との間で、正当な理由がなく、その者が当該派遣労働者を当該派遣元事業主との雇用関係の修了後雇用することを禁ずる旨の契約を締結してはならない。
労働者派遣法33条
(判決の要旨)
判決は、派遣法33条は、派遣労働者の職業選択の自由を保障するものであって、派遣法33条に違反して締結された契約条項は無効であるとしました。
また、派遣法33条は、派遣元事業主が独自に有し、他の事業主は有しない特殊な知識等を有することによる当該派遣元事業主の利益を保護するといった正当な理由がある場合に限り、雇用制限の禁止を解除するものであるとし、本件ではそのような正当な理由は認められないから、禁止条項及び禁止合意は派遣法33条に違反し無効であるとして、原告会社の請求を棄却しました。
※控訴