Case330 解雇通知を誤って労働者の隣家に投函したことに対する慰謝料が認められ、組合員名簿等の提示を求め団体交渉を拒否したことが不当労働行為に当たるとされた事案・学校法人コリア国際学園事件・大阪地判令4.12.26

(事案の概要)

1 原告A

 被告法人が運営する学校で教員をしていた原告Aは、法人からの退職勧奨を拒否したところ、自宅待機命令ののちに解雇されました。解雇理由は、⑴複数回の遅刻や、⑵教員会議での指示に反して他の教員の退職を特定の生徒に知らせたことなどでした。

 原告Aの解雇にあたり、法人の参与らは、原告A宅の玄関横の窓から「解雇予告通知書在中」と朱書きした封筒を未封緘のまま投函しましたが、それは隣家の窓だったため、隣人が当該封筒を受け取り原告Aが解雇されたことを知ることになりました。

 原告Aは、法人に対して解雇の無効を主張し、雇用契約上の地位確認等を求めるとともに、参与らが隣家に解雇予告通知書を投函したことに対して慰謝料請求しました。

2 原告B

 同じく教員であった原告Bは、原告Aの解雇について記載された組合ニュースを学校で配布したことを理由に停職処分や解雇などをされました。

 原告Bは、法人に対して停職処分や解雇などの無効を主張し、雇用契約上の地位確認等を求めました。

3 原告組合

 原告らが加入する原告労働組合は、法人に対して原告らに関する団体交渉を申し入れましたが、法人は組合員名簿等の提示がなければ原告らが組合員であると確認できないなどと主張して団体交渉を拒否しました。

 原告組合は、団体交渉拒否が不当労働行為に当たるとして法人に対して損害賠償請求しました。

(判決の要旨)

1 原告A

⑴ 解雇の効力

 判決は、⑴原告Aには複数回の遅刻があったものの、子どもや自身の体調不良などのやむを得ない理由のない遅刻は1回のみで、その際も授業の実施には支障を生じさせておらず、⑵については教員として求められる規律に反する行為であったといえ、形式的には服務規律違反による懲戒事由があるとしても、解雇を基礎付けるに足りる客観的に合理的な理由に当たるとはいえないとして、原告Aに対する解雇を無効としました。

⑵ 損害賠償請求

 判決は、一般に、労働契約上の地位を有するか否かは労働者の社会的評価に影響を及ぼすものであり、勤務先から解雇されると労働者の社会的評価が低下するとして、法人の参与らが隣家に解雇予告通知書を投函したことにつき法人の使用者責任を認め、慰謝料3万円の支払いを命じました。

2 原告Bに対する懲戒処分及び解雇の効力

 判決は、原告Aの解雇に関する事実関係が組合ニュースに記載する必要性が高い事項であったこと、主要部分において事実と合致していること、法人の名誉を毀損したり業務を妨害する効果を持つとはいえないことから、組合ニュースの配布は懲戒事由に当たらないとして、原告Bに対する懲戒処分及び解雇を無効としました。

3 原告組合の損害賠償請求

 判決は、原告らが組合員であることに疑念を生じさせる具体的事情があったとはいえず、法人が団体交渉に応じなかったことは、団交拒否及び支配介入の不当労働行為に当たるとし、10万円の賠償を命じました。

Follow me!