Case349 大学教授が教授会へ出席すること及び講義を担当することは権利であるとして教授会への出席に対する妨害排除請求が認められた事案・学校法人栴檀学園事件・仙台地判平11.12.22判時1727.158

(事案の概要)

 原告労働者ら3名は、被告法人が設置する本件大学で教授ないし助教授として勤務していましたが、法人から、「教授会の構成員として不適格であるので当分の間教授会への出席を停止する」として本件出席停止処分を、「教育に携わるのにふさわしくないので、当分の間授業の担当からはずす」として本件講義停止処分を受け、8~9年間にわたり教授会への出席や講義をすることができませんでした。

 本件は、原告らが法人に対して、各処分の無効を主張して教授会への出席及び授業の担当に対する妨害の排除や慰謝料の支払いを求めた事案です。

(判決の要旨)

 判決は、教授会の重要性から、教員にとって、教授会に出席し、議案の審議に参加することは、単に事実上の利益や反射的利益というに止まるものではなく、権利であるとしました。

 そして、本件出席停止処分は実質的に懲戒処分であるとしたうえ、懲戒事由があるとはいえないとしてこれを無効とし、法人に対して、原告らの教授会への出席を妨害してはならないと命じました。

 また、大学の教員にとって、学生に教授することは、その学問研究の成果の発現の機会であるとともに、このような機会において学生との対話等を行うことは、さらに学問研究を深め、発展させるための重要かつ不可欠な要素であるとして、大学教員が学生に対して講義を担当することについても、単なる義務というに止まらず、権利としての側面を有するとしました。もっとも、講義のカリキュラムが編成されなければ講義を担当する具体的権利は認められないとして妨害排除請求は却下されました。

 原告らそれぞれについて250万円の慰謝料が認められました。

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