Case380 会社が労働者の処遇を検討するための2か月の自宅待機を休職扱いし一部有給休暇及び代休として処理したことが違法とされた事案・上州屋事件・東京地判平11.10.29労判774.12

(事案の概要)

 店長として勤務していた原告労働者は、従業員からの告発を受け、被告会社から勤務態度や金銭管理について事情聴取を受けました。

 事情聴取の翌日、会社は、原告の処遇を検討するため、原告に対して期間を定めず自宅待機を命じました。社内で意見がまとまらず、原告の自宅待機は2か月間にも及びました。会社は、一方的に原告の自宅待機期間を無給の休職として扱い、勝手に有給休暇22日と代休15日を取得したことにしてその分の賃金を支払いました。

 その後、会社は、原告が店長として不適格であると判断し、原告に対して降格減給処分を行いました(降格減給は有効とされています)。

 原告は、会社に対して、一方的に自宅定期期間を休職扱いし、有給休暇及び代休を取得したことにしたことが不法行為に当たるとして損害賠償請求しました。

(判決の要旨)

 判決は、会社内部において原告の処遇についてなかなか意見がまとまらず、二か月を要したことはやむを得ない面があるとしても、会社が原告に対し、相当な手続によって休職を命じたとはいえず、その期間を原告の承諾なく一部有給休暇及び代休として処理したことは、会社の就業規則及び労働者の希望するときに有給休暇を与えなければならないとする労基法39条に違反し、不法行為に該当するとしました。

 そして、慰謝料30万円を認めました。

※控訴

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